駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第5試合・Sフェザー級8回戦/●大庭宏之[西遠](判定0−3)武本康樹[千里馬神戸]○

大庭は8勝(3KO)7敗2分。98年デビュー。同年から00年まで3年連続で新人王戦にエントリーし、00年に中日本決勝まで進出するが、後のOPBF王者國見泰央 [カシミ・引退]に敗れた。再起後は6回戦で連勝するも、1年1〜2戦のペースでの活動で、タイトル戦線には交わらない独自の活動を続けている。A級昇格後は2勝4敗、昨年4月の関西遠征では山下将臣[高砂]に判定勝ちを収めている。
武本は11勝(3KO)1敗2分の戦績で日本フェザー級5位。04年デビュー、当初は粗い動きも目立ったが05年の新人王戦で能力開花。全日本決勝で惜敗するも、西軍決勝MVPを獲得する活躍を見せた。06年に再起し日本ランカー・山崎晃[六島]に引き分けたものの、その後は東南アジア人相手中心に煮え切らない試合の連続で、暫しの停滞。だが07年3月に児島芳生[明石]を降して日本ランクを獲得すると、その後は元日本1位の金井晶聡[姫路木下]、小路尚也[Gツダ]を明確な判定で降し、ランキングも上昇中。
1R。いきなり膠着気味のショートレンジ戦で手数の打ち合いへ。武本はラウンド終盤に奪った有効打からロープ際を追い回して猛攻へ。追加弾も決めて優勢確保。
2R。武本は慎重にジャブ、ガード・パーリングを駆使して地道に主導権確保と手数・ヒット稼ぎ。それでいて踏み込み鋭く右ストレート、左フックも見せるなどして小差ながら優勢。大庭はペースを乱して殆ど自分の動きが出来ない。
3R。このラウンドは大庭がアグレッシブに強打・圧力攻勢。武本も一枚上の精度ある攻守で反撃するが、明確なヒット少なく押され気味の印象が否めず。
4R。大庭はここもトリッキーな攻防でポイント狙いも、武本は単発気味ながら的確な迎撃・打ち終わり狙いでヒットを量産し逆に優位。
5R。両者フック、アッパー中心の大振り攻勢。ラウンド序盤は大庭が試合を主導するが、中盤から武本も精度ある迎撃で追いすがる。ゴング前まで一進一退の攻防が続く。
6R。ロングレンジで大振り中心の大味な内容が続く。武本はヒット数の差で実力の差を表現してみせるが、大庭の鋭い反撃をスリッピングアウェーで際どく捌く場面も目立った。
7R。このラウンドも大味な内容だが、武本が攻守の地力面のアドバンテージを戦況に直結させて主導権とヒット数でリード。だが大庭も粘り強く前、前に踏み込んで反撃を続けた。
8R。大庭の圧力攻めに対し、武本はステップで捌きつつジャブ中心に迎撃。時折強打も浴びせて優勢は明らか。だが決定打は全く出ずに緊迫感に欠ける内容のまま。大庭は勝ちたい気持ちに技術がついて来ない。
公式判定は野田79-73、坂本79-74、宮崎78-74の3−0で武本。駒木の採点は「A」78-74「B」79-75で武本優勢。
武本が点数上は完勝の形だが、相手の強引なファイトスタイルにお付き合いして、こちらも大味な攻めに終始してしまった。KOを予感させる場面を作れず、それぞれのラウンドの中で反撃を許すなど詰めの甘い所が多々見られた。ランカーとして、今日の試合は落第点。
大庭は前、前へ出て手数をまとめていったが、相手の堅実な守備に捌かれ、要所で被弾する悪い流れから抜け出せず。善戦健闘するも確固たる実力差は克服できなかった。