駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第1試合・フライ級4回戦/●横山集[明石](4R1分12秒負傷判定1−2)樋口裕二郎[金沢]○

両者戦績は横山1勝(0KO)1敗、樋口1勝(0KO)1敗と同じだが、樋口は約1年半のブランクがある。
1R。横山がアグレッシブに攻めて先手獲るが、すぐさま樋口がロングレンジからのキレある動きで反撃。ダッキングとガードで防戦しては回転力のある連打を見舞って手数・ヒット数で圧倒する。ワン・ツーからの左フック、アッパーが良いコンビネーション。
2R。横山が圧力かけて右アッパー中心の攻めで反撃。樋口は頑強に抗戦するが近距離に詰められるとダッキングが使えず、被弾も目立つ。
3R。クロスレンジ乱打戦。樋口は偶然のバッティングで左目付近を深く負傷し、ラウンド後半からは負傷判定を念頭に置いた猛烈なラッシュで数的優位を築く。横山もアグレッシブに対抗するが、ここは樋口の気迫に気圧された形。
4R。クロスレンジでの乱打戦が続く。手数合戦から横山が右ストレートの有効打を決めて一歩先んじた所で、樋口の傷を確認したドクターがストップを勧告した。
中断された4Rまでの採点で争われた公式判定は野田39-38、半田39-38(以上、樋口支持)、松田39-38(横山支持)のスプリットで樋口。駒木の採点は「A」38-38イーブン「B」39-38樋口優勢。
両者成長著しく、望外の好勝負。樋口は1R、キレのある攻守で素質高い所を見せたが、2R以降の接近戦では動きが雑になってしまった。パンチ力や大振り傾向なども含めて課題は多く残っているが、回転力のあるコンビネーションや要所での気迫溢れる戦い振りなど長所や勝負強い所もあり魅力的な選手。混戦続くフライ級戦線に伏兵登場か。準決勝では有力候補とぶつかるが、健闘を期待できそう。
横山は単発傾向や守勢に陥りがちな面が解消され、果敢に攻めて大いに試合を盛り上げたが、明確な形で落としたラウンドを作ってしまったのが痛かった。新たな課題としてパンチ力の増強を挙げておきたい。