駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第6試合・Sフライ級6回戦/●早野吉男[尼崎亀谷](判定0−3)吉田ファンキー[奈良]○

両者戦績は早野5勝(0KO)11敗1分、スイッチヒッターの吉田は5勝(2KO)1敗1分。早野は昨年4月の中日本遠征以来の再起戦。03年に新人王予選で挙げた白星以来、実に5年近く勝利から遠ざかっている。現在はドロー1つを挟んで7連敗中。吉田は昨年の新人王戦で西日本フライ級準V。昨年11月に再起戦を6回戦で勝って、A級まであと1勝に迫っている。
1R。早野はリードジャブを捨てつつ、ジリジリと圧力をかけては強打狙い。しかし精度に欠ける印象で、4回戦の延長上から脱し切れていない。吉田はやや受身になっているが、右ストレートを有効打するなど反撃も見せた。
2R。早野は愚直な攻勢。吉田はこれを受けて立つが、有効な反撃に乏しい。バッティングで右目付近に大きなコブを作るなどして、受身に立たされて見せ場がなかなか作れない。しかし早野も有効打無く、明確なリードを奪えない。
3R。吉田は早野の攻勢に対して、積極的な迎撃策でカウンターを立て続けにヒット。早野はクリンチに頼りつつも何とか主導権を取り戻そうとするが、肝心のヒットが……
4R。スピードで勝る吉田が先手、先手のヒット&アウェイ策。決手に乏しいが、近距離に飛び込んで細かくワン・ツーでヒットを重ねる。早野は「自分の攻めを全うすれば結果が付いてくる」と言わんばかりの愚直な攻め。しかしもっと工夫が欲しい。
5R。これまで同様の展開。スピード活かした吉田の軽打・手数攻めが試合を支配。早野は敗勢を意識しつつも、自分なりの攻めを見せて抵抗するが、実らない。
6R。クリンチの多い膠着戦に。吉田の主導権は揺るがぬが、早野は渋太く手数を出して互角に粘る。決手欠けたまま試合終了のゴングが鳴った。
公式判定は宮崎60-54、野田60-55、坂本60-55の3−0で吉田。駒木の採点は「A」59-55「B」59-57で吉田優勢。
吉田はスピード優位活かしたアグレッシブな迎撃作戦で、一本調子な攻めで来る相手を捌いて快勝。だがこの決定打に欠ける攻撃は8回戦では厳しそう。
早野はこれで8連敗。しかし、未だに4回戦気分が抜け切らない単純な攻めを見れば納得か。機転と工夫を利かせた攻めで、不利な状況から挽回するような“ボクシング頭脳”が欲しい。