駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第5試合・Sフェザー級8回戦/●上原裕介[大鵬](2R0分51秒TKO)岩下幸右[Gツダ]○

上原は12勝(6KO)6敗1分の戦績。02年にデビュー。緒戦から4連勝でB級昇格、更に3戦で6回戦を2勝してA級昇格までは順調なもの。そこから連敗、負傷ドローと一時停滞するも、05年9月からA級で全てノーランカー相手ながら5連勝をマークと着実にキャリアを積み重ねてきた。しかし07年は不運な負傷判定負けを皮切りに、8月、12月とランカー級の難敵相手に相次いで敗れて3連敗中。今回は年度も改まって仕切り直しの一番になる。
岩下は6勝(3KO)7敗1分の戦績。04年デビュー、4回戦時代から勝率五分前後を右往左往する状況も、新人時代に敗れた相手には日高慎一[尼崎]、武本康樹[千里馬神戸]など後のA級上位選手の名前も。06年のB級昇格後もアウェイ中心の不利な条件での試合が続いた事もあって勝率は伸び悩んだ。07年4月には06年度全日本新人王・清水秀人[木更津GB]を敵地で破る殊勲を挙げて漸くA級昇格を果たしたが、続く7月には所属ジム主催興行で敗れるなど、依然としてチグハグな勝ち負けの繰り返しが続いている。今回は9ヶ月ぶりの再起戦となる。
1R。ショートレンジを維持しつつ、細かく足を使って位置を変えつつの打撃戦。上原が先制打を奪うが、間もなく岩下のジャブが当たり始めて主導権が移行し、右でクリーンヒットを奪ってはロープでラッシュする場面が2度。上原は早々にダメージが深く、苦しそう。
2R。まだダメージが残り、動きの鈍い上原に対し、岩下はアグレッシブな攻勢で打ち合いを仕掛け、優位に進める。ロープ際に詰め寄って猛攻を仕掛けようとしたところで野田主審が早めのストップ。普段はストップに慎重なレフェリーの躊躇無い判断、当の上原も落胆はすれど反抗はしなかった所を見ると、勝敗の行方はすでに明白だったのだろう。
アグレッシブな打撃戦は、徐々に岩下が主導権を握り、ソツなくダメージを蓄積させて1Rで既に形勢大差。快勝でアプセットに成功。前回の敗戦は全てが裏目に出たが、今回はその揺り戻しと言うべき“勝ち目”の連発だった。
上原は持ち味の圧力攻勢ではなく、真正面から打ち合いに応じてしまったのが敗着か。連敗の中で本来あるべき姿を見失っているのかも。もっと泥臭いファイトスタイルで粘り勝ちを狙うぐらいで丁度良い。