駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・Sバンタム級契約ウェイト(54.5kg)10回戦/○橋詰知明[井岡](5R2分31秒TKO)武田高廣[大阪帝拳]●

橋詰は9勝(4KO)2敗2分の戦績。アマ時代に国体少年の部近畿予選優勝を果した直後、17歳でプロ転向。デビュー戦でいきなりB級選手相手にドローに持ち込むなど才能の片鱗を窺わせ、06年度新人王戦でバンタム級西日本新人王となる。だが西軍代表戦では、林孝亮[緑・引退]と僅差のスプリットデシジョンで敗れ後楽園進出はならず。07年に入って4月に敵地遠征でドロー、7月には松元雄大[Gツダ]に敗れるなどスランプが続いたが、10月に竹本裕規[風間]、12月には橋口竣[正拳]にそれぞれ大差判定勝ち、今年2月にも丹羽賢史[Gツダ]を寄せ付けず、上昇気流に乗った感がある。
武田は6勝(2KO)8敗1分。01年デビュー、02年・04年に新人王戦に臨むがいずれも2回戦敗退に終わり、途中3連敗を喫するなどパッとしない成績が続いた。だが04年11月と05年4月に6回戦で連勝して一気にA級へ。昇級後は試合枯れ気味の時期もあり、3敗1ドローと戦績が振るわないものの、前回07年10月の川端賢樹[姫路木下]戦では、TKOに敗れるも溌剌とした試合振りで会場を盛り上げた。
1R。武田の強引な突進を、橋詰はステップワーク使いつつキレある連打で捌いてゆく……という流れ。ラウンド前半は橋詰が優位だったが、徐々に武田がショート攻勢で詰め寄り、終了ゴング直前に右で効かせて逆転か。
2R。武田もこのラウンドも突進しつつの強打。だが橋詰は冷静にガードを下げたまま突っ込んで来るこのファイターが、前に出ようとする所へ右ストレートを合わせてグラつかせる。武田の攻勢点も魅力だが、橋詰の主導権支配と右も印象的。
3R。早くも消耗戦の様相。共にボディ中心に強打を打ち込むが、武田の圧力に屈せず踏ん張る橋詰が手数・ヒット数ではリード。武田の強打がどこまで評価されるかだが……
4R。このラウンドもクロスレンジ中心の打撃戦。橋詰が手数勝ちも、武田は要所で強打決めて見せ場作り。ラウンド後半に入って、橋詰はステップワークで捌いたかと思えば、逆に圧力をかけていく強気の試合運びも見せて主導権支配に成功。
5R。武田は早くも体力切れか、ラウンド序盤から出足が鈍い。橋詰は体力温存しつつ手数稼ぎに徹して優位。劣勢意識した武田が中盤から攻勢に出るが、橋詰の連打で返り討ちに遭う。最後はパンチに効かされた、というより体力がゼロになって力尽きた……という形のTKO。
橋詰は試合序盤こそ相手のラッシングに手を焼いたが、これまでスピードに隠れていたフィジカルの強さも発揮して硬軟織り交ぜた攻めで追い上げた。相性的に微妙かと思われた相手を真っ向から突き崩してのTKO勝利、プロの荒波に揉まれる内に随分と粘り強さが出て来た。
武田は果敢に攻めたものの体力切れで自滅。力みすぎたか、スタミナ不安の相手よりも先にバテるとは本人も想定外だっただろう。