駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行概要及び雑感

今年2度目となる、神戸サンボーホールでの千里馬神戸ジムの主催興行。今回は近隣他ジムとの合同興行形式ではなく、単独主催興行の形となった。この興行へ向けてのビッグマッチ構想の噂は色々と耳に挟んだが、結局今回は実現せずチューンナップ試合中心のマッチメイクに。しかも所属A級選手のうち、武本康樹はこの直後にある「最強後楽園」トーナメント出場のため欠場、更には今回出場予定だった武本在樹が計量前の健康診断をパスできずにリタイヤというアクシデントもあって、全6試合(うちA級2試合)・計32RというJBCルールの下限ラウンド数の“ミニパック”となってしまった。有り体に言ってリングサイド席が2万円・1万円という価格設定の興行としては物足りなさが否めない。まったく、他ジムからの人的支援が受けられない時に限ってこういう事が起こるのも皮肉なものである。
試合直前での急病を理由にした欠場は先週の新人王予選でも1件あったが、気温の急な上昇と梅雨入りという不安定な天候が、過酷な減量で抵抗力の落ちている選手たちの体調に響いているようである。今回の武本にしても、体調不良と減量苦を圧しての必死の努力の甲斐なく通告されたドクターストップであったと聞く。が、様々な同情すべき点を差し引いても、世界タイトル挑戦までしたベテラン選手がこのような形で自主興行の試合に穴を開けるというのは決して許される事ではない。多くの人に与えた徒労と金銭的なダメージを考えれば尚更である。タイトル挑戦などの期日の動かせない重要試合ならともかく、そうでない場合は最低限以上の体調で試合出場が望めなくなった時点で早めの“勇気ある撤退”も必要ではないかと思う。
さて、ネガティブな話題はこれで打ち切りとして、今回の主要カードを紹介しよう。メインはフィリピンからの輸入ボクサー&OPBFランカー・ジェロッピ瑞山(ジェロップ・メルカド)の来日5戦目。先日予定されていた世界ランカーとの対戦が興行不成立という形で流れてしまい、これが仕切り直しの一戦だ。来日直前に敵地で引き分けたブシ・マリンガがWBC王座挑戦権を獲得してにわかに注目されている選手だが、今回はこれで東洋・日本ランカー3連続挑戦の若武者・西正隼[正拳]の挑戦を受ける。そしてセミでは、OPBF・日本王座再挑戦へ必死のアピールが続く玉越強平が出場。今回がA級緒戦という山本直[守口東郷]を相手に、前回に続いてのKO勝利を狙う。その他前座では、4回戦ながらアマチュアで全国級の実績を持つ2人、帝里木下[千里馬神戸]と本田衛[JM加古川]の対戦が注目カードだ。

※駒木の手元の採点は「A」(10-9マスト)「B」(微差のRは10-10を積極的に採用)を併記します。「B」採点はラウンドマスト法の誤差を測るための試験的なものですので参考記録程度の認識でお願いします。公式ジャッジの基準は「A」と「B」の中間程度だとお考え下さい。