第１部第７試合・フライ級８回戦／●橘悟朗[エディ]（５Ｒ０分55秒ＴＫＯ）楠浩明[Ｇツダ]○

橘は10勝(2KO)７敗１分の戦績。02年にデビュー、03年には新人王戦にエントリーするも西日本２回戦敗退。その後は地道にオープン戦を重ねる“裏街道”をひた走り、04年以来１ドローを挟んで４連勝しＡ級に到達する。05年末からは立て続けに日本ランカー挑戦を繰り返すハード路線に切り替え、06年まで３連敗を喫したが、07年２月に岸田直哉[クラトキ]を降し、ランキングを奪取。その後４月にタイ人をＫＯして一時は日本ミニマム級７位となるが、７月に山口淳一[森岡・引退]に敗れて陥落。その後は12月に６回戦で再起し、08年５月には黒田雅之[新田]に挑戦しランキング復帰を目論むが判定負け。今回が仕切り直しの一戦である。
楠は11勝(8KO)６敗３分。00年にデビュー、３連勝を挙げて01年の新人王戦にエントリーし、西日本準決勝では堀川謙一[SFマキ]を降しているが、決勝で後に同僚の世界王者となる高山勝成[エディ→Ｇツダ→真正]と対戦し、判定負けを喫する。その後も藤原工輔[正拳・引退]、大場浩平[スペースＫ]、安田幹男[エディ→六島]ら日本〜世界ランカー級選手らと拳を交える濃密なキャリアを積み重ね、06年７月には当時日本ランカーの小室裕一郎[新松戸高橋]を破って１ヶ月間のみながら日本Ｓフライ級10位に登載された。だが、その後はＫＯ負け、ドロー、判定負けと約２年間勝ち星から遠ざかるなど停滞を強いられ、前回08年６月にはタイ人相手に久々の勝利を飾るも大苦戦を強いられている。
１Ｒ。橘はいつも通り、足を使いつつの連打攻勢。楠は一旦後手に回るも次第に左ボディ起点の反撃でパワー優位をアピール。手数か、パワー攻勢かで微妙な形勢。橘は偶然のバッティングで右目蓋を負傷。
２Ｒ。橘はゴング直後にコーナーへ詰めていって攻勢。しかし楠はジリジリとパワーで押していって、ボディ起点にワン・ツー。橘の前進も上手くいなして小差逆転か？
３Ｒ。楠はローブロー気味ながら単発のボディ打ちでリズムを作り、そこから左フックにつなげて有効打を２〜３発。橘も手数と圧力は強いが、パンチ力の劣勢は明らかで……
４Ｒ。パワーで勝る楠のペース。橘は相変わらず渋太く手数と圧力をかけてゆくが、楠の迎撃は迫力十分。ロープに詰められても逆にボディフック、右ストレートで有効打、クリーンヒット。
５Ｒ。楠が一気猛攻。左を次々と当てて、一方的になった所で早めのストップ。
楠が久々に絶好調の好パフォーマンス。ボディからの左フックが次々と決まり、３Ｒ以降はダメージブローで大差優勢を築いた。今日はナチュラルな階級差のアドバンテージもあったが、それを差し引いても実力の確かさを遺憾なく見せ付ける完勝。
橘はいつも通りの小気味良い動きを見せたが、ナチュラルのパワー差は歴然としていた。１Ｒに右目蓋を負傷した影響か、動きが鈍いようにも見えた。