駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第4試合・フライ級10回戦/○李明浩[大阪帝拳](判定3−0)橋本泰治[尼崎]●

李は5勝(2KO)1敗の戦績。アマ時代に龍谷大などで50戦36勝14敗の豊富なキャリアを重ね、06年にB級デビュー。日本人B級選手、タイ人相手に連勝した後、プロ3戦目で比国ランカーのアレフレッド・ナダルにKO負け。同年末にはタイ人選手相手に早々の再起を果たすも、そこから約1年のブランク。今年2月に6回戦で再起に成功したが、6月の高橋優紀[倉敷守安]との試合では右目上に傷を負う苦しい展開。偶然のバッティングかパンチによるものか微妙な受傷だったが、辛くも負傷判定勝ちを拾っている。
橋本は7勝(1KO)4敗3分。03年末にデビュー。キャリア当初はドローが多く、勝ち味の遅さに泣かされていたが、06年の新人王戦では翌年のLフライ級西軍代表となる中澤翔[大鵬]を下して西日本決勝まで進出。6回戦も連勝でクリアするなど成長の跡を見せた。8回戦では勝ち星に恵まれず3連敗中だが、大差の無い惜しい内容が続いている。
1R。スピード使ってアウトボクシングを志向する李が、ジャブを再三ヒットさせて数でリード。しかし橋本もボディをしつこく攻めて食い下がる。“アグレッシブ”要素をどう評価するかがポイント。
2R。同様の展開。橋本のボディも決まるが、李の先手で放つコンビが上下に刺さって数的リードは僅か。橋本はもっとガムシャラに出たい。
3R。橋本はアグレッシブさを増して更に圧力。電車道で李を圧倒し、ボディに加えてカウンターの取り合いで互角以上。視も好調途切れずアグレッシブだが受身も目立つ。
4R。橋本の圧力、これを李は足でいなしつつ激しい打撃戦に応じる。回転力で勝る李がヒット数で上位。橋本もフックをヒットさせるがオープンブロー気味でダメージに繋がらず。
5R。橋本のフック攻勢に対し、李は鋭いストレート系の組み立て。橋本が李を効かせる場面もあったが、李も息切れせず。終了ゴング前には連打を当てて李が再逆転を果たす。
6R。同様の展開。橋本も見せ場を作るが、李のワン・ツー・フック、アッパーが鋭く刺さる。ヒット数は李で、橋本はダメージブローが欲しいところ。攻勢点は上位だが?
7R。同様の展開が続く。橋本も時折ロングフックを決めるが、李はその都度細かい連打を返してポイントアウト図る。
8R。同様の展開から橋本も先手の攻めだが、李のパンチ数は1.5倍のペース。共にクリーンヒット少なくKOの予感は無いが、李の互角以上という形勢が続く。
9R。このラウンドは橋本の圧力が上位。李は終盤に手数をまとめるもインパクト不足で橋本の攻勢点ばかりが目立った。
10R。圧力をかけたい橋本だが、李が踏みとどってストレート左右連打で見せ場を作る。パンチ力に欠ける両者ゆえにKOの予感は皆無だが、明確なヒットをまとめた李がリード。
公式判定は野田99-91、原田99-92、宮崎98-93の3−0で李。駒木の採点は「A」98-92「B」99-93で李優勢。
李はスピードと回転の利いたストレート系連打で数的リードをキープ。非力さを数でカバーして堅実な判定勝ち。テクニックは十分A級でも通用するが、インパクトを残すシーンをもっと作らねばランカーへの道は険しい。
橋本は愚直にフック攻勢で粘るも、愚直過ぎる技術とオープンブロー気味のフック一辺倒では限界を感じてしまう。