駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

日本Sライト級タイトルマッチ10回戦/○《王者》木村登勇[横浜光](4R2分54秒TKO)西尾彰人[姫路木下]《挑戦者・同級1位》●

王者・木村は34勝(18KO)6敗2分の戦績でサウスポー。96年に東日本新人王戦でデビュー。この年は準決勝で敗退するが、翌97年は6連勝で全日本新人王に輝く。98年に入っても連勝し、リック吉村が長年保持していた日本ライト級王座に挑戦するが、判定負けを喫する。この後は湯場忠志[都城レオS]、阪東竜[ハッピーカドタ・引退]に1ドローを挟んで連敗するなど不振に陥るが、00年のA級トーナメントで優勝して復調。01年には再び日本ライト級王座に挑み、2月には当時の王者・湯場に負傷判定ドローに終わるが、12月の王座決定戦で勝利して3度目の正直でチャンピオンとなる。しかしこの時の王座は翌02年の初防衛戦で嶋田雄大[ヨネクラ]に明け渡し、次のチャンスまで1年余の待機を余儀なくされた。04年、1階級上げて現在も保持する日本Sライト級王座を奪取。以後12回の連続防衛に成功している。前回、08年9月にはアンドレアス・コテルニク[ウクライナ]のWBA世界王座に敵地挑戦したが、完敗の判定負け。今回は13度目の防衛戦であると同時に、再起戦ともなる。防衛戦ではこれが3回連続の西日本地区から挑戦者を迎える事となる。
挑戦者・西尾は13勝(8KO)3敗2分で、こちらもサウスポー。日本1位、OPBF3位のランキングを有する指名挑戦者だ。02年デビュー。新人王戦では03年に1勝して西日本決勝へ進出するが赤澤慎司[神拳阪神]に敗れ、04年の再挑戦も1勝した後の準決勝で中島丈志[Gツダ]にドロー敗者扱いでリタイヤ。しかし間もなく再起すると、05年4月にB級緒戦で磯道鉄平[ウォズ・引退]に敗れて以後は無敗をキープ。A級では福原寛人、大崎丈二[ウォズ]と2試合ずつ当たって、際どい勝負もあったが3勝1分、そして07年10月の試合では山本大五郎[金沢]に勝ってランキングを大幅に押し上げた。今年に入っても2月に土居裕介[塚原京都]、7月には中元英明[広島三栄]に連続KO勝ちして好調をキープしている。今回が日本王座初挑戦。
1R。木村はいきなり「木村術」狙いの圧力強打攻め。西尾は必死に捌くが左の有効打を1発被弾。迎撃したいところだが、ロープに詰まり、ジャブの迎撃もままならず、専守防衛でよけるのがやっと。
2R。木村が攻め、西尾が守る、という3分間。防戦一方の中で反撃狙うが、木村が余裕を持って捌く。木村は不発気味ながらも重いパンチで攻め立てる。
3R。木村の激しい圧力と右ショートフックやボディへの痛打が次々と決まる。西尾は主導権を失い、自分のペースで戦わせてもらえない。決死の覚悟で打ち合いを挑むが、冷や汗をかかせる事すら出来ず。
4R。膠着気味の前半戦、西尾は右カウンターに望みをかけるが、既にダメージの差は歴然。浦谷主審は大勢決したと観て早めにレフェリーストップをかけた。
木村術全開のV13達成。西尾はスピードを総動員しても専守防衛で10分間凌ぐのがやっとだった。ジャブ起点のアウトボクシングを展開する前に潰されてしまった。