駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行全体の総括

これほど書きたい事の多い興行も珍しいが(笑)、まずは興行の時間と進行から。全試合フルラウンドという誤算があったにせよ、表彰式が終わったのが0時前というのは余りにも酷すぎる。JBC発表のタイムテーブルから実に2時間の遅延である。これがもし6回戦制だったなら間違いなく日付を跨いでいたに違いない。冒頭でも書いたが、興行開始時刻の設定を再考願いたい。ちなみに西軍3地区の決勝や西軍決定戦は原則として休日の昼間に行われている。
そして、次に採り上げたいのが採点である。昨今「最強後楽園」トーナメントなどで不可解な判定が相次いでいる東日本地区だが、今回は全試合判定決着となり、その酷い有様が図らずも浮き彫りになった形である。第1試合からいきなり10年前にタイムスリップしたような地元判定が炸裂したかと思えば、その後も微差の試合・ラウンドのポイントが不可解なほど東軍の選手に流れていく。また、東軍・西軍関係無い話だが、一方的な内容の試合でも異様にスコアが競った試合も複数見受けられた。東日本側選手・関係者への“思い入れ”や“遠慮・配慮”、あるいは「自分だけ大きく食い違ったスコアをつけたくない」という“恐怖心”がジャッジペーパーに現れているのではないだろうか。
安河内事務局長就任以来断行された、無気力タイ人の撲滅、地元判定が染み付いた高齢審判への定年制導入などの諸改革により、西日本地区を始めとする地方都市では、地元判定は“絶滅”とまではいかないまでも“激減”は達成するに至っている。事実、大阪で行われた今期新人王戦の西軍代表決定戦でも、2試合あったドローの優勢点投票はいずれも他地区の選手が有利な結果が下された。だが、肝心の“聖地”後楽園の大舞台でこの有様では、せっかくの改革も片手どころか両手落ちである。東日本地区の審判員の指導・研修の強化を進めると共に、全日本新人王決勝では4地区の審判員を招聘するなど、より公平なジャッジが下されるような施策を講じて頂きたいと願う。
さて、いい加減、試合内容に目を向けよう。西日本・西軍勢に視点を置くと、唯一の勝利を挙げた吉野を含めて善戦した西軍選手にほぼ共通していたのが1Rからとにかく積極的に打って出たという事だ。逆に森川のように1Rを不用意に様子見してしまったり、主導権争いで出遅れた選手は、結局その後も実力を発揮し切れずに終わった感があった。敵地だからとKOを狙い過ぎたり、あるいは慎重に出過ぎるなど“ヨソ行き”の試合をしてはいけないのだ。少なくとも1Rは明確な10-9を獲りに行き、その延長上でKO勝ちを目指す、ぐらいの感覚でいくのがベストなのかも知れない。
それにしても吉野のパフォーマンスは見事だった。横のスピードと縦のスピードが融合され、攻撃力も備わって来た。これなら立派に日本ランカーの務めが果たせるだろう。とにかく、ランキングから落ちない間に1戦こなし、8回戦のペースにも慣れておきたい。