駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

興行全体の総括

メインは、よく言えば夛田の冷静、悪く言えば安全運転のボクシングに終始し、内容的には盛り上がりに欠ける試合内容になってしまった。事情はよく理解出来るのだが、それでも凡戦の謗りは免れまい。世界戦を名誉挽回の場として欲しい。
この日は全体的に男子の試合が低調で、客席が盛り上がったのは西口の1RKOのみという感じ。4回戦選手の中には技術的あるいは体力的にプロテスト合格の水準に達しているのかすら微妙という者まで居た。情けない限りである。年収ベースでは超薄給と言えども、プロボクサーは正味15分、下手をすれば数十秒で4万円を稼ぎ出す特殊な専門職である。報酬に見合った最低限の「専門的な技能」は示さなければならない。これは売文家が、プロとして最低限以上のクオリティにある文章を書かねば、何百枚の没原稿を書いても掲載もされなければ原稿料も貰えない、辛うじて発表出来ても酷評で滅多打ちにされるのと同じ理屈である。
さて、女子の試合では、秋田屋、真道の両者が好ファイトを展開。特に真道は鮮やかな2ノックダウンで、女子ボクシングと言えども男子顔負けの迫力を演出する事が可能であると実証してくれた。この2人は5月に西日本初の女子試合で相見えているが、この時もなかなかの好内容であった事を考えると、現在の西日本女子C級選手の中では、この2人の実力が頭一つ抜けていると感じる。
ただ、その他の試合では技術面はともかく見応えという面では大きく見劣った印象が否めない。これは女子だから、というわけではなく男子でもミニマム級の試合は迫力不足に陥るケースが多いのと同じ理屈であって、問題は女子の試合の多くがアトム級で実施されている所にある。標準的な体格の日本人女性が本格的な減量をすればアトム級になってしまうのは仕方ないのだが、ここまで女子選手の階級分布が極端に偏ってしまうと、マッチメイク面でも支障が出かねない。関係者の方は、是非とも50kg以上のウェイトで戦える新人女子選手の発掘・育成を重点的に活動してもらいたいところだ。