駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

「拳王への道」(正拳主催)

正拳ジムの若手育成ブランド「拳王への道」、今回は普段のIMPホールを離れ、天王寺駅から徒歩圏内、市営低下鉄の四天王寺前夕陽ヶ丘駅から至近距離という公営施設・クレオ大阪中央の大ホールを舞台に開催される。筆者はこの会場に初訪問なので雑感を付記しておくと、ホールの形状は阿倍野や住吉の区民ホールに似たシアター型。ただし、キャパシティは区民ホールより若干大きく、1000前後といったところか。座席数だけならIMPホールより多いかもしれない。奥行きが広い割に座席の角度が緩く、見易さといった点ではIMPより若干見劣りするが、音響・照明設備などハード面はかなり良好。いわゆる「蛮用に耐える」施設である。ただ、交通の便が中途半端で、近隣に飲食店がほとんど無く、来場客からすると微妙に便が悪いのが珠に瑕。やはりIMPホールが使用できない場合の代替施設という位置付けが妥当だろう。
さて、今回の興行は全7試合・計40R。メイン格の久高寛之がタイ人相手に行う再起戦が4回戦3試合と6回戦3試合の間に挟まるという変則プログラムだったのだが、これが当日になって第5試合に、さらに興行途中で第6試合にスライドされた。理由は「進行上の理由」とのみ発表されたが、いたずらに他の出場選手や観客を混乱させるのは好ましい話ではない。予備カード扱いされた前座出場選手の気分も余り良くはなかっただろう。「大人の事情」があったのだろうが、この辺は事前検討の余地が大いにあったのではないかと指摘しておく。
また、この日は第3試合終了後に、予告に無かったスポンサー主催のファッションショーと、元プロレスラーでプロテストに合格したばかりであるゼウスの公開スパーが開催された。ファッションショーは20分以上に及ぶもので、こちらも何とも「大人の事情」を感じさせる催し物であった。ボクシングのリングの上に「ハミパン」状態のプロボクサーがシャドーボクシングをしてみせたり、半ば下着姿のような女性モデルが闊歩し、ダンスを踊るというのは硬派な関係者・ファンなら眉を顰めるものだったかも知れない。イベントとしての完成度を上げるためのアトラクションなら大変結構だが、観客席を背に向けた方にベクトルの向いた見世物を延々と繰り広げるのはどうかと、筆者からも問題を提起しておきたい。ゼウスのスパーについては対戦相手が現役選手ではなかったため詳報は差し控えるが、現状のゼウスの地力はプロテスト合格レベルそのものであって、それ以上でもそれ以下でもないと報告しておく。相手探しにも事欠くクルーザー級、逆に言えば勝てる相手をいくらでも海外から呼んで来れる状況にあるのだが、今さら体重を2倍した亀田興毅を粗製されても困るわけで、客寄せだけで終わらない本格的な選手となるような育成をお願いしたいものだ。
なお、この日は同時開催の関係上、A級レフェリーライセンス保持者が3人しかおらず、中日本地区から石川レフェリーの応援を得て興行を実施した。