駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第3試合・フェザー級4回戦/△田井敬之(判定0−0)吉村厚志△

田井は今回が初見。戦績はデビュー以来3連続KOで、今回で最短コースでの6回戦昇格を狙う。一方の吉村はここまで2勝(1KO)4敗の戦績も、5月には西日本新人王予選で後に決勝まで進出した奥西章平に互角とは言わぬまでも4ラウンド善戦健闘して判定まで持ち込んだ事があり、しかもその後1勝している。戦績こそ負け越しだが4回戦クラスでは決して“安全パイ”の選手ではない。

1R。田井はワン・ツーを放ちながら前へ前へ圧力をかけてゆくファイター型の選手。とにかく手数が豊富で、なるほど並以下の4回戦ボーイなら訳の判らぬ間に圧倒されそうな勢いではある。しかし吉村は強い圧力に戸惑いながらも攻撃を捌いて逆にワン・ツーで逆襲し、細かくヒットを奪ってゆく。手数と主導権は田井が、パンチがヒットした数は僅かに吉村が優勢で、ジャッジ的には非常に際どいラウンド。
2R。このラウンドも田井は接近戦を挑み、手数と圧力で押して行くが、肝心のパンチはことごとく不発。吉村は下がりながらも細かいヒットを立て続けに奪っていった。
3R。2ラウンドと同様の攻防だが、このラウンドでは吉村が印象的なヒットを奪えず。攻守の総合的なテクニックでは吉村が互角以上といったところだが、田井がとにかく手数を繰り出すためジャッジはまたしても微妙なものとなる。
4R。田井にやや疲れが見えたか、このラウンドは吉村も退かずに闘えた。ただし田井も手数は減らさず、結局は互角の攻防に。甲乙付け難い際どいラウンドだが、敢えて差をつけるなら守備のテクニックで勝っている吉村か。

公式ジャッジは38-38、38-38、38-38でドロー。際どいラウンドが続いた割には判定はピッタリ揃った。ちなみに駒木の採点は39-38で吉村優勢と見たが、ドローでもまぁ納得の内容だ。
双方の戦績に引き分け1が加算され、田井は3勝(3KO)1分、吉村は2勝(1KO)4敗1分となった。
田井は惜しくも6回戦昇格を逃した形になったが、現状の実力を鑑みるにこの足踏みは不幸中の幸いだったろう。ラッシュ一辺倒で、それも4回戦で中の上程度の相手になると不発に終わってしまうのでは上のクラスで通用するはずが無い。パンチの精度を高め、スタミナをつける努力を重ねてもらいたい。
吉村は特にディフェンス面で着実な成長が窺えるが、文字通りパンチに欠ける攻めがネックか。更に上を目指すならオフェンス面でもう一皮剥けて欲しいところ。敵に確実なダメージを、そしてジャッジに確実な好印象を与えるような得意のパンチを1つ2つ習得出来れば一気に化けそうな気がする。(まぁそれが簡単に出来たら苦労はしないが)