第４試合・Ｓバンタム級４回戦／○辻彬宏（判定３−０）立山浩隆●

この試合は両者ともデビュー戦。

１Ｒ。ゴングが鳴るなり、両者リング中央に駆け寄って超大振りのフック・アッパーの応酬。ガードもヘッタクレも無い無防備なドツき合いで、ボクシングというよりファイティングといった感じ。立山はフックを大振りする度にオープンブローの注意を受け、ラウンド終盤には遂に減点１。一方の辻も荒っぽい動きだが、ロープに詰めて連打を浴びせる場面も見受けられた。
２Ｒ。中間距離からの打ち合いでスタート。最初は立山が先手、先手で攻めたが、単調な動きを読まれて徐々に劣勢に立たされる。特に打ち終わりのディフェンスが全くなっていなくて、パンチを捌かれた直後に痛打を浴びると半ばパニック状態で後退を重ね、立て続けに被弾する場面が目立った。
３Ｒ。立山のパンチは大振りでしかもテレフォンパンチ、更に打ち終わりのガードが甘くて隙だらけ。しかし辻もそれに対処出来るだけの技術に乏しく、反撃の合間にたびたび被弾してしまう場面も。クリーンヒットの数では辻が上回ったように思えるが、立山の攻撃も印象的ではあった。
４Ｒ。辻が開始直後からＫＯ狙いでラッシュするが、間もなく体力切れ。対する立山もスタミナが切れており、結局最後の２分間は両者バテバテの、お世辞にも見応えのあるとは言えぬ攻防に終始した。やはりこのラウンドも立山の攻守にわたる粗さが目立ち、全般的に辻が攻勢で試合を進めていた。

公式ジャッジは40-35、39-36、38-37の3-0で辻。駒木の採点では40-35で辻優勢。
良く言えば「両者デビュー戦らしい気持ちでぶつかり合った熱戦」、悪く言えば「テクニックの全く感じられない泥仕合」。敗れた立山は勿論、隙だらけの敵を前にしてカウンターもロクに決められなかった辻にとっても褒められる内容の試合ではなかった。次の試合は「ボクシング」の試合を見せてもらいたい。