駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・OPBF東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチ12回戦/●《王者》佐竹政一(2R2分06秒KO)金正範《挑戦者・同級1位》○

佐竹は東洋太平洋王座を9回防衛中の、名実共にアジアNo.1チャンピオン。WBC のSライト級8位、WBA同級11位。今年の世界前哨戦ではスプリット・デジションで惜しい星を落とし、世界獲りは一旦振り出しに。この試合を足掛かりにゼロから世界挑戦への道を歩き始める事となる。なお、今回10度目の防衛に成功した場合は王座を返上し東洋太平洋を“卒業”する予定。
一方の金は韓国のSライト級王者。99年1月に王座奪取し、01年9月まで4度防衛した後陥落するも、03年に王座奪還して現在2度防衛中。2ラウンド以内のKO勝ちが13度という、速攻型のハードパンチャー。

1R。金はやはり開始直後からアグレッシブに手数を出して来た。佐竹は足を使ってそれを捌きつつ、ワン・ツーで迎撃。両者のファイトスタイルが早くも鮮明に表れた試合展開。そのままラウンド終盤まで、金が手数でやや勝る以外は互角の印象だったが、ゴング直前、金の豪快な右が佐竹の顔面にクリーンヒットし、たまらず佐竹はダウン。立ち上がる事は立ち上がったが、かなり足にキているように見えた。
2R。佐竹はダメージが残っているようで、遠目から見ても明らかにステップが鈍い。ディフェンスの命綱を断ち切られた格好の佐竹は大苦戦で、金に低いガードを突かれて度々フックをクリーンヒットされる。それでもラウンド中盤、佐竹も金の動きを見切ったとばかりに反撃に出る。ただ、やはり動きが自分のイメージと合致しなかったのか、調子が戻って来たと思われた矢先に右フックを叩き込まれロープ際に轟沈。ダメージは深刻で、結局10カウントで立ち上がれないまま、試合終了を告げるゴングを聞いた。

今日の佐竹は、ウィーブとステップでパンチを捌ききれず、挙句にガードの低い隙を突かれるという、ガードに頼らないタイプのディフェンス巧者が絶不調に陥った時に見せる典型的な負けパターン。個人的な印象としては、徳山昌守が世界王座を滑った時にダブって見えた。
試合翌日の報道を見ると、案の定というか、今回の佐竹はモチベーション低下による練習不足で、到底マトモな状態ではなかったらしい。試合後は引退を示唆したとも受け取れる休養宣言をした佐竹だが、確かに今の彼に最も必要なのは休息であるに違いない。
新王者・金の戦績はこれで23勝(18KO)2敗1分。敗れた佐竹は20勝(13KO)4敗4分となった。