駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・契約50.0kg10回戦/○中島健(5R 53秒 KO)ファーカノン・シンドンタイ●

中島はこれまで11勝(7KO)2敗の戦績を持つ日本ライトフライ級9位。この秋にはタイ遠征も敢行し、敗れたとはいえ貴重な経験をした模様。ただ、8月に生観戦したフィリピン人ランカーとの試合では明らかな地元判定に救われての辛勝。ランキング入りしてから目立ったパフォーマンスを見せられずにいるのが現状。
一方のファーカノンは7勝(4KO)1敗のタイ国ライトフライ級王者。唯一の敗戦は来日して微妙な判定に敗れたものという事で、今回の戦い振りが注目されたのだが……。
1R。慎重に相手の動きを窺いつつジャッジにアピールする程度の手数を出す中島。一方のファーカノンは極端に手数の少ない“噛ませモード”だが、ウィービング中心の防御は上手く、時折放たれる強打も中島の顔面をクリーンに捉えるなど実力の片鱗は窺える。
2R。中島は上下に打ち分けて巧みな攻撃。この辺りはさすがにランカーといったところ。特にボディブローが冴え渡っていた。相変わらずファーカノンは徹底して消極的なボクシング。
3R。ファーカノンが申し訳程度に放つ強打がことごとくクリーンヒット。中島は手数を出すものの決定打を奪い返せない。また、8月の時点で課題だった横の足が使えないという面も全く改善されていないのが気になってきた。
4R。中島が消極的なファーカノンをコーナーに詰めてラッシュをかけるが、タイ王者の専守防衛の前にクリーンヒットを奪えず。
5R。開始早々からファーカノンが強烈なフックを中島の顔面にクリーンヒット。しかしその直後から打たれてもいないのに様子がおかしくなり、中島のボディーブローを数発浴びた後、頭を押さえつけられるような軽いパンチで何故かダウン。立ち上がるもファイティングポーズを取らず、レフェリーは一瞬躊躇した後に10カウントを数えた。
中島は勝つには勝ったが……という内容で12勝目。もしこれがタイトルマッチなど、東南アジア人でも本気で掛かって来るようなシチュエーションなら十中八九負けていた。ランク入りして以来、全ての対戦相手が東南アジア人ボクサーなのだが、確かにこの試合振りで下手に強豪ノーランカーと試合を組んだら何をされるか分かったものではない。しかし、日本ランキング維持が最終目標ではない以上、いつかは冒険に打って出なくてはならないだろう。近い将来訪れるその時までに総合的な実力アップに励んでもらいたい。