駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第4試合・WBCミニマム級タイトルマッチ12回戦/●《王者》イーグル京和(4R39秒TKO)イサック・ブストス《挑戦者・同級1位》○

13戦全勝(5KO)の王者・イーグルが、23勝(12KO)6敗3分の戦績を持つ指名挑戦者・ブストスを迎え撃つ、今年最後の大一番……になるはずだった、のだが。
1R。ラウンド序盤からイーグルの左が冴え渡る。ジャブを起点にしてリズムを掴み、ワン・ツーで有効打を奪っていくという基本に忠実な戦術で優位に立つ。ただ、やや決めに行くパンチが大振りなのが少し気になる。ブストスも不発気味ながら手数は出ている。
2R。このラウンドもイーグルが攻守共にブストスを圧倒。やはりジャブから自分のペースを構築してゆく。クリーンヒットこそなかったが、小さなパンチの当たった数では大差がついた。
3R。序盤、イーグルは右のショートをクリーンヒットさせて優勢に立つも、1分前後から右肩の関節を気にするようになり、間もなく左腕一本とボディワークだけで戦い始めて赤コーナーサイドは異様な雰囲気に。これまで守備で大いなる効果を上げていたガードとパーリングを封印せざるを得なくなったイーグルはダメージの残る被弾こそないものの、ブストスの猛攻を防ぎきれず。
4R。脱臼の応急処置を終え、再び戦いの場に立ったイーグルだが、実はこの右肩の怪我は全治6ヶ月の重篤な骨折(12/22追記:後の診断で全治4週間のものと判明)で、既に戦える状況ではなかった。ブストスは巧みに右肩へ衝撃を与えるような攻めを見せると、イーグルはたまらず右腕を押さえて試合続行を拒否。レフェリーがこの戦意喪失を見て試合終了を宣言し、TKO裁定となった。
まさに「好事魔多し」の極めつけとも言えるアクシデントで勝ち試合を右手からこぼしたイーグルは、生涯初の黒星を喫して王座から転落。どうやらブサックのパンチが肩に変な形で命中してしまったようだが、まさかK−1の試合で見られるようなアクシデントを、ボクシングのミニマム級のタイトルマッチで目撃するハメになろうとは……。
新王者・ブストスは再戦にも応じる構えだというが、これは事実上の暫定王者としてベルトを腰に巻いた以上は当然の務めだろう。むしろ、イーグルより1〜2枚落ちる実力の彼が、半年以上先の再戦の時までにタイトルを保有しているかどうかの方が心配だと言わざるを得ない。