駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・スーパーフェザー級8回戦/○中根修(5R40秒TKO)豊嶋耕志●

先述の通り、生中継の時間調整のため、8回戦と4回戦の試合1試合ずつがメインイベント終了後に回された。テレビ生中継のある時にはこういう事が頻繁にある。ほら、昔、ミッキー・ロークの出た4回戦ってのがあったでしょう?(笑)*1
しかし、メインが終わるなりスタンドから8割方の観客がホールを出て行ったのには閉口。誤解を恐れず言うが、所用も無いのにこういう途中退場をするボクシングに愛の無い人はボクシング会場に来て欲しくない。
……さて、第5試合は10勝(6KO)2敗の好成績で、近い内にランカーを目指そうかという勢いの中根が、16勝(8KO)9敗1分と豊富な戦績を誇る豊嶋を相手に迎えた8回戦の一戦。
 それにしても東でボクシングを観るたび思う事だが、こっちのノーランカーボクサーの戦績が勝ち数負け数共に立派なのには驚く。A級ボクサーの層が上にも下にも相当分厚くて、適当な試合相手に事欠かないということなんだろう。これがA級ボクサーの絶対数が少ない西日本だと、伸び悩むA級ボクサーは格上挑戦ばかりやらされるので、負け数はともかく勝ち数が増えるというケースが余り見られない。しかももっとタチの悪い事に、伸び盛りのボクサーは専らタイ人と調整試合を重ねるので中身の薄い数多の勝ち星と、少ないながら致命的な黒星によって戦績が構成されてゆく。
1R。序盤から中根が手数をビシビシと出してアグレッシブさをアピール。しかし豊嶋はカエル跳び気味の派手でトリッキーなボディワークとクリンチ気味の強引な試合運びで早くも泥仕合に引き込んでゆく。まるで西で日本人選手と変わったタイ人の試合を見ているようだ。なお、このラウンドで豊嶋はパンチによって顔面から出血。
2R。ショートレンジでの打ち合い中心。共に防御は二の次といった感じで激しいヒットの応酬だが、中根が手数で勝り優勢。
3R。豊嶋はトリッキーな動きで上下に打ち分ける小器用な攻めを見せるが、守勢に回ると足を止めてガードを固め、体を振るばかりで中途半端な専守防衛。そこを突いて中根が手数で優位に立ち、ジャッジにアピール。
4R。完全な泥仕合。両者共に甘いディフェンスのために無数に互いのパンチを被弾する。手数はやはり中根だが、このラウンドは豊嶋も食い下がった。
5R。開始直後から中根がメッタ打ち。豊嶋の傷口がパックリと開き、ドクターはチェックを促されると遠目に見ただけで試合終了を勧告した。パンチによる傷の悪化ということでTKO裁定。
まぁモチベーションを高めようの無い状況ではあったが、正直な所、8回戦としては物足りないレヴェルの試合だった。

*1:念のためにネタに自己マジレスしておくと、その試合は興行的にも“一応”メインイベントだった