駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第3試合・フライ級8回戦/○久高寛之(判定2−1)竹村貴宏●

続いては、フライ級の04年度全日本新人王&技能賞・久高が登場。ここまで9勝(2KO)2敗1分の戦績で、デビュー2戦を落とした後は負け無しの快進撃。実力とセンスは業界内でも高い評価を集めているものの、やや安定感を欠く戦い振りで際どい判定決着が続いているのが現状の課題か。最新ランキングで日本ランクから滑ったが、今回の対ランカー戦で復帰を狙う。
対する竹村は01年度のフライ級新人王戦西軍代表で、10勝(6KO)8敗2分の戦績。8回戦になってからは強豪相手に負けが込んでいるが、昨年に負傷判定ながら大西健市を破ってLフライ級の日本ランカーとなり、順位は現在9位。
1R。ジャブ中心の攻めで手数を稼ごうとする竹村に対し、久高は距離を詰めて強打中心にアグレッシブかつ戦況の要所を押さえたセンス豊かな攻撃。ラウンドを通じて強打を印象的に使っていた久高の方がジャッジには好印象か?
2R。久高がコンパクトな左右のフック連打を上手くヒットさせてゆく。竹村もワン・ツー中心に応戦するも、なかなか先手で攻められずリズムを掴めない。
3R。前半は竹村がリードジャブで中間距離をキープし、やや有利な展開に持ち込んだが、後半になると久高は竹村のアグレッシブさを逆利用するような形で巧みに接近戦に持ち込み、左フック、右アッパーをヒットさせた。
4R。竹村はこのラウンドも中間距離を維持しきれず、久高ペースにハマりこむ。竹村もワン・ツーを度々ヒットさせるのだが、久高はそれ以上の数のフック、アッパーをお見舞いする。ディフェンス面の力量差が有効打数に反映されている感じ。
5R。中間距離と近距離の間での攻防戦。竹村の攻撃を久高はボディワークとパーリングで巧みに捌き、左フック、そして右の一撃をクリーンヒットさせて優勢。このラウンドは久高が攻守共に一枚上といった感じ。
6R。竹村が序盤からショートをヒットさせて機先を制すると、久高はやや余裕が無くなって守備が疎かになって連打を被弾する。接近戦では反撃に転じてヒット数では肉薄するも、このラウンドは手数も含めてやや久高が見劣った感。
7R。互いにフックの当たる危ない距離で激しい打撃戦にとなり、両者とも無数の強打を浴びせあう。だが、竹村の左フックがクリーンヒットして久高がグラつく場面があり、これはジャッジの決め手になりそう。
8R。前半は久高が竹村の動きを見切りつつ、要所で狙い撃ち気味にヒットを重ねるが、後半になると竹村が動きの鈍った久高を一方的に攻める場面もあった。両者アグレッシブで、手数・ヒット数は互角に近い。
公式判定は77-75、77-75(以上、久高支持)、77-75(竹村支持)の際どいスプリットデジションで久高の辛勝。ただ、最初は「77-75久高支持」のうちの1つが「75-73竹村支持」という不可解なスコアで発表され、竹村が一度は勝ち名乗りを受けるという場面も。直後に採点の修正と久高の勝ち名乗りがあったが、後味の悪い結末であった。ちなみに駒木の採点は77-75で久高優勢。
勝つには勝ったが、またも久高は際どい判定勝負となった。闘争心が高過ぎて不用意に激しい打撃戦を仕掛けてしまう嫌いがあるようだ。観客としては大変好もしい選手ではあるが、勝ち負けが計算し辛い上に消耗度の高い試合スタイルで、将来の事を考えるとやや心配ではある。竹村の敗因は自分の距離をキープ出来なかった事だろう。余裕の持てない相手ばかりと試合をしているせいもあるだろうが、もう少し冷静さが欲しいところ。