駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第7試合・Sバンタム級(54.5kg)契約ウェイト8回戦/●タット・トーレス(判定0−3)坪内達哉○

メキシコ出身のタット・トーレスは、元日本ランカーで13勝(7KO)7敗4分の戦績。日本上位ランカー以上との対戦になると歯が立たない傾向がある。一方の坪内は、龍谷大学ボクシング部出身でB級デビュー以後2連勝中。
1R。トーレスはヘディング気味に突進して手数を重ねてゆく老獪なラフファイトを見せるが、肝心のパンチはやや不発気味。坪内は攻めあぐんでいたが、それでも後半に狙い撃ち気味のストレートを2発クリーンヒットさせて形勢は微妙に。
2R。坪内はトーレスのラフな仕掛けを巧くいなしてワン・ツーをヒットさせてゆく。しかし中盤になると、トーレスも強引にヒットを重ね、手数では上回って形勢はまたも際どい。
3R。序盤はトーレスの強引なオーバーハンドフック、中盤は坪内のワン・ツーが冴えたが、終盤に入ってトーレスの左ボディがクリーンヒットすると、試合の流れは百戦錬磨のベテランへ傾いた。
4R。トーレスのトリッキーな出入りからのオーバーハンド、左ボディフックが有効打。坪内もワン・ツーでヒットを重ねるが、強打が決まらない分だけインパクトに欠ける感も。なお、このラウンドにはトーレスの度重なるヘディング行為が咎められて減点1.
5R。序盤、トーレスのアッパーがクリーンヒット。更にボディで畳み掛ける。坪内も主導権を取り戻そうとワン・ツーで迎撃してヒットを奪うが、このラウンドも大きなヤマを作れず微妙。
6R。強引な試合運びで執拗なボディ攻めを加えるトーレスに対し、自分の距離に立てば冷静にストレートでボディをお返しする坪内。手数はややトーレスだが、このラウンドも採点は際どい。
7R。坪内がトーレスのトリッキーな動きを封じ、ジャブを足掛かりにペースを掴むと、ストレートをボディ、フックを顔面に浴びせて、このラウンドは優勢。トーレスもやられっぱなしではなかったが。
8R。坪内が果敢に打ち合いに出るが、しかしこれはトーレスのペース。アッパーを連続して喰らって劣勢に。しかし終盤には坪内が立て続けにクリーンヒットを奪って形勢を挽回し、最後も互角のラウンドとなった。
公式判定は79-72、78-73、77-74の3−0で坪内。内容からすればトーレスの勝ちもあるかと思われただけに、この大差判定には疑問符が付く。一連のラフファイトを「技術を伴わない乱暴な攻撃」とみて、採点で不利に扱ったのだろうか。駒木は最終ラウンドの採点を迷いに迷った末に坪内へ10点を振って76-75坪内優勢とした。
ともあれ、判りやすい“プロの洗礼”をおみまいされても、そう戸惑う所も無く判定勝ちを収めた坪内の健闘は十分に評価されて然るべきであろう。まだタイトルやランキングを狙うには足りないものが多すぎる印象だが、これからクローズアップされる存在にはなるはずだ。