駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第11試合・ミドル級8回戦/○野中悠樹(5R1分52秒TKO)真木和雄●

メインイベントは、尼崎ジムの暫定エース・野中悠樹が、倉敷守安ジムのミドル級・真木和雄を迎えての8回戦。野中にとっては1階級上の選手が相手だが、意味合いとしてはランキング戦前の調整戦ということになるか。
その野中は9勝(4KO)4敗1分の戦績。4〜6回戦で随分と出世に手間取り、昨年末にようやく日本ランカー・石田順裕との対戦に漕ぎ着けるも大差判定負けを喫した。今回の試合ではミドル級契約ながら自主的にSウェルター級まで減量し、試合前には「これをクレイジー・キムへの挑戦表明としたい」とコメント。……う〜ん、言うのは確かにタダだけれども、今の立場の野中が軽はずみに言って良い事とは思えないように思えるのだが。
一方の真木は6勝(5KO)3敗1分の戦績。昨年にはミドル級ランカーの清田祐三と戦い、敗れている。“並の8回戦”脱却には負けられない試合。
1R。ガードを固める真木に対し、アグレッシブに仕掛けていく野中。連発したジャブをブロックされると、ならばと左フックをボディに浴びせる。真木は専守防衛気味で、もう少し手数が欲しい。
2R。真木はこのラウンドもガードを固めて、野中の打ち終わりを狙って右、左とフックを合わせる戦法。野中はこのフックを数発被弾するが、ガードの内へ外へと多彩に仕掛けて優勢。
3R。このラウンドも野中が手数で優勢。真木の固いガードをフェイントで崩しつつ、ジャブやボディブローをヒットさせてゆく。真木も強打のコンビネーションを顔面に見舞い肉薄するが、どこまでジャッジを味方につけられたか?
4R。野中が序盤から多彩なショートの連打、そしてトリッキーに放つ右ストレートとボディブローでヒットを連発。真木も連打を浴びせて逆襲する場面もあるが、やや疲れの色が見えて来た。
5R。野中はこのラウンドも上下に打ち分けて手数を稼いでいく。真木も有効打を返すシーンもあったが、中盤以降はガードが下がって精彩を欠く。一方的に攻められ、敗色濃厚となった時点でレフェリーがストップをかけた。まだ余力を残していたらしい真木は、このタイミングのTKOにかなり不満を漏らしていたが、この戦況では「勝ち目希薄」と止められても致し方なし。
野中が1階級の“重量ハンデ”をものともせず完勝。相手のやや消極的なファイトスタイルに助けられた部分もあったが、軽快な動きと多彩なブローで実力の“中間発表”をしてくれた。真木はディフェンシブな戦い方が完璧に裏目に出てしまった。