駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第10試合・ライト級6回戦/○天堂雅之(4R終了TKO)竹ヶ鼻亮二●

セミファイナルは、04年度新人王戦Sフェザー級西軍代表・天堂雅之の再起戦。天堂のここまでの戦績は8勝(5KO)3敗2分。ファイトスタイルは、一応は長身を活かしたボクサータイプだが、必勝パターンはむしろ昨年10月の試合(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20041011#p7)で見せたような、近距離でのインファイトになった時。完敗に終わった全日本新人王戦では、その辺りを完璧に研究されている節があった。
対する竹ヶ鼻は、ここまで3勝(1KO)5敗2分の戦績。天堂とは、03年度の新人王戦では同じトーナメント表に名を連ねた仲(?)ではあるが、B級昇格後はホープ選手の踏み台にされて伸び悩んでしまっている。今回も強敵が相手となってしまったが……。
1R。中間から遠目の距離でジャブ中心の攻防戦。竹ヶ鼻がワン・ツーでオープニングヒットを奪うも、その後は天堂が5〜6連打のコンビネーションを繰り出して手数でリード。特にジャブが小気味良くヒットしていくのが好印象だ。終盤には竹ヶ鼻も逆襲のフックをクリーンヒット気味に炸裂させるも、これだけでジャッジを味方につけられたかは微妙。
2R。天堂がフリッカー式の変則的な構えからのジャブでペースを握ろうと図るが、竹ヶ鼻に要所要所で動きを見切られた。竹ヶ鼻は左フックが力強く、これを上下にクリーンヒットさせた。ヒット数では両者互角も、主導権を握っていたのは竹ヶ鼻か。
3R。天堂はこのラウンドもフリッカー・ジャブで機先を制する作戦。前半は天堂が上手く距離をコントロールしてペースを握ったが、後半には竹ヶ鼻も危険を顧みずにインファイトを仕掛け、右フック、左ボディを有効打にする場面があった。ジャッジ的にはかなり微妙なラウンド。
4R。天堂は「接近戦、望むところ」とばかりに距離を詰め、ジャブ、右フック・アッパーを突き上げていく。この一連の攻撃で竹ヶ鼻は目尻を切って大きく腫らし、いっぺんに精彩を欠いてしまう。何とかこのラウンドは乗り切ったが、レフェリーがダメージを考慮して試合をストップ。TKO裁定となった。
天堂は、新しく開発したフリッカーでアウトボックスにも磨きをかけようという姿勢も窺えたものの、結局試合を決めたのは接近戦での鋭い強打だった。今後もしばらくは同様の試合展開が続くのだろう。これでA級選手をジャブで遊べるようになったら本格化だが……。竹ヶ鼻も3Rまでは得意のフックを駆使して十分に健闘していたが、欲を言えば、この強打を活かすためのジャブを増やしたい。あと、素質が無いわけではないので、もっと選手本位のマッチメイクをしてあげて欲しい。