駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・ライト級6回戦/○天堂雅之[尼崎](6R1分54秒TKO)奥西章平[大星森垣]●

両者戦績は天堂9勝(6KO)3敗2分、奥西7勝(6KO)2敗。天堂は04年のSフェザー級西軍代表。05年5月の勝利を最後にフェイドアウトし、一時期は所属ジムの非常勤トレーナーを務めていたが、昨年に現役復帰を決意し、長い時間をかけて調整して来た。
対する奥西は04年度西日本新人王戦でフェザー級準V。その後再起したが、こちらも05年10月の敗戦を最後にリングを去っていた。2年10ヶ月ぶりの再起戦となる。
1R。天堂はブランクを感じさせぬ回転力あるアウトボックス。だが奥西が強引に踏み込んでいって左ショートフックで有効打連発。右の強打も力強く、単発ながら天堂に与えるダメージは大きそう。
2R。天堂はこのラウンドも左リードジャブが多く、まさに教科書通りのアウトボックス。だがガードが下がる所に奥西のフックが飛んで来て、これを貰ってしまう。奥西は強い圧力で攻勢、放つパンチも精度は高くヒット数、ダメージ共にリードを奪う。
3R。天堂は体力を温存したいのか淡白な試合運び。断続的に5〜6連打を放つが軽め。奥西も強いショートで反撃し、食い下がる。ラウンド終盤、天堂は突如ラッシュに出て20連発とも言えるほどの猛ラッシュで一気にロープへ詰めてクリーンヒット炸裂。奥西は危うくクリンチへ逃げた。
4R。奥西は鋭いアッパー、フックで重たいヒット、有効打を連発。ボディへも強打を浴びせて大差リード奪う。天堂はこのラウンドも終盤に連打で攻めるが、被弾も多く逆転は難しい。
5R。同様の展開。奥西のショートは的確で、打撃音も凄い。しかしダウンを予感させるようなクリーンヒットは無く、天堂はここも終盤に連打で畳み掛ける。奥西は、この最大瞬間風速的な猛打をモロに浴びて効いてしまう。
6R。奥西はやや体力切れか、動きが落ち始める。序盤から天堂が一方的に攻め、中盤に奥西が猛反撃に出るが、天堂は得意の連打攻撃で再反撃し、ストレートをクリーンヒット。奥西を効かせて更に追撃を見舞ってTKOを勝ち取った。
3年ぶりの再起戦同士となるマッチメイクだったが、蓋を開けてみれば8回戦上位級の好勝負に。天堂はガード難は一時引退前と変わっておらず、アウトボクシングも淡白な印象があるが、体力を貯めておいての猛ラッシュは決定力があって出色。この良くも悪くもメリハリのある所をどう調整してゆくかが今後のポイント。
奥西は単発気味ながらも精度抜群のショートフックにアッパーを交えた連打で大いに見せ場を作ったが、視聴覚的な迫力ほどの威力が無いのか、KOチャンスを作れず、ポイント上の優勢を守り切れなかった。しかし、日本ランカーを窺えるぐらいの力は有りそうで、あと1階級ぐらい絞って再起し、もう一花咲かせて欲しい。