駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・フェザー級契約ウェイト(56kg)6回戦/●頂貴裕[尼崎亀谷](5R2分34秒KO)中井五代[大鵬]○

この試合出場の2人は今回が初見。戦績は頂5勝(2KO)4敗1分、中井4勝(2KO)2敗2分。
1R。頂は公称173cmの身長だが、もう少し高く見える。この長身を折り畳むようにして構える変則スタンスからトリッキーな動きを交えつつ、相手の出方をじっくり窺う試合運び。中井もこの動きを見ながら慎重な対応で、ロングレンジから捨てパンチを打ち合っての様子見が続いた。ラウンド後半には豪快な強打を振るい合う場面もあったが、全体的にヒット数の少ない静かなラウンドで、ほぼ互角の形勢。
2R。両者とも、攻めより守りの方が達者という感じで、ステップワーク巧みに互いに互いのパンチを捌いてゆく。動きこそ派手だが、ヒットする回数はやはり少ない。ジャッジ的には、ラウンド終盤に頂がガードの上から手数を浴びせていったのが僅かな決め手か?
3R。中井が頂の長いリーチの内側に潜り込んでショートフック・アッパーを効果的に決めて優勢。頂もラウンド終盤に自分の距離を取って反撃に転じたが、こちらは中井のガードが堅固で不発に終わる。
4R。このラウンドも中井は頂の懐に飛び込んでいく作戦だが、今度は頂がカウンター気味に迎撃して自分の距離を守り抜く。中井もそのカウンターで被弾する事は避けており、必ずしも判定面で不利な展開というわけではなかったが、主導権争いでは劣勢か。
5R。中井が更にプレッシャーを増していって攻勢に出る。中盤に頂もボディフックで見せ場を作るも、終盤には中井が強烈な上下への左フックを起点にキレのある強打を見舞っていって優勢を築く。
6R。先のラウンドで勢いづいた中井は、このラウンドも積極的に打って出る。頂も懸命に食い下がるが反撃らしい反撃は決まらず、最後は中井に左右の高速コンビネーションをテンプルに叩き込まれて力尽きるようにダウン。頂は必死に立ち上がったが、レフェリーは10カウントを数えて試合を止めた。TKOに準じた裁定と見ていいだろう。
一進一退の攻防から、5Rに中井が形勢を己の方へ傾かせて勝利をもぎ取った。ただ、折角の速いハンドスピードを持ちながら、そのパンチがテレフォン気味である事が多いという欠点も気になった。このキズは6回戦の内に直しておきたい。頂は攻撃の起点が作れなかったのが痛かった。