駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第10試合・Lフライ級4回戦/△諸一宇[尼崎](判定0−1)山田卓哉[エディ]△

諸はこのブログでも度々登場しており、個人的には御馴染みの選手。戦績は3勝(1KO)2敗2分で、直前の試合は5/1の新人王戦1回戦(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050501#p12)で、今期準決勝まで進出した奥村和也に0−0ドロー敗者扱い。
対する山田も今年の新人王戦組。1回戦をシードでスルーして臨んだ6/5の2回戦(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050605#p3)で、こちらは今期決勝進出者の山脇正輝を相手に、アグレッシブなボクシングでほぼ互角の健闘をするも、0−3判定負け。戦績は2勝1敗で、キャリア的にはこれからの選手ながら、能力は4回戦でも上位クラス。
諸は半ばトレードマークと化していた悪癖である真っ直ぐ後退する癖をほぼ修正し、横の足を覚えると共にディフェンス全般に磨きをかけて来た。ガード、ダッキング、ヘッドスリップなど、多彩で確実な動きは既に6回戦〜8回戦クラス。ただ、この日は守備に気が回りすぎて手数が少ない嫌いがあった。一方の山脇は相変わらずのアグレッシブファイト。ワン・ツーを主体に手数を出しまくった。
1Rから諸のディフェンスが冴えに冴える。山田の手数をガードの上にすら打たせず、逆に打って出て主導権を奪う。ボディ、ショートアッパーを交えてこのラウンドは手数も出ていた。しかし2Rに入ると更にアグレッシブに手数を増やして来た山田の猛攻の前に諸は専守防衛気味に。膨大なパンチの殆どはディフェンスで無効化させてはいるが、細かい被弾を貰った上に自分から放つ手数が少なく採点では不利な展開に。最終4R、採点の劣勢を意識した諸がバッティング上等のアグレッシブファイトに出るも、やはり攻めに決定力が無く、ヒットは奪うものの強くジャッジにアピールできない。逆に山田はバッティングで目尻を切りながらも手数を絶やさず、ヒットは奪えないものの主導権をアピールして形勢互角のまま終了のゴングを聞いた。
公式判定は39-37(山田支持)、38-38、38-38の際どい1−0ドロー。駒木の採点は38-38イーブンだが、印象的には「ドローか山田の少差勝利」という感じで、公式判定は実に絶妙なサイレントマジョリティを演出していた。
新人王候補も手を焼いた山田のアグレッシブさも勿論良かったが、やはりそれ以上に諸のディフェンスのスキルアップが光った試合。今日はディフェンスに気を取られすぎてポイントを失ったが、これが攻撃と結びつくようになれば6回戦以上でも有望な選手になるだろう。来年の新人王戦が今から楽しみだ。