駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・ウェルター級4回戦/△ドラゴン田中[六島](判定1−0)小倉雅弘[神拳阪神]△

ドラゴン田中の本名は、4/3に判定で初勝利を飾った(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050403#p1)田中竜亮のリングネーム。本名時代の戦績は1勝1敗。対する小倉は4敗1分と5戦してまだ勝ちが無い。今年のミドル級新人王戦では4/3の1回戦(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050403#p5)で金崎俊行に完敗を喫している。
1Rから小倉は「豪快」と言うより「乱暴」と表現した方の良い豪腕フックで猛攻。パワーは物凄いが基本的にはガードを放棄して腕を振り回しているだけなので、精度はサッパリな上に打ち終わった後はたちまち危険に晒される。田中はガッチリガードを固めて被弾をボディブロー数発に留めると、ノーガード状態の顔面をサンドバッグに見立てたかのようにビシビシとフックを打ち込んで優勢を築く。2R以降もほぼ同様の展開で、小倉は時折アッパーの狙い撃ちや左のクリーンヒットで見せ場を作るも、それぞれのラウンドで無防備の顔面を打ちまくられる場面があり、手数はともかくヒット数では大差をつけられて試合終了のゴングを聞いた。
公式判定は40-36(田中支持)、38-38、38-38の1−0ドロー。確かに小倉が力任せに攻勢を保っている時間が長かったとはいえ、ボクシングの技術がまるで感じられないパンチがここまで評価されたのは正直言って驚き。駒木の採点は40-36で田中の技術とクリーンヒット数を支持した。
ボクシングの試合というより、人間と猛獣の戦いといった趣の4ラウンズ。技術評論をする段階の試合ではないが、敢えて褒めるポイントを探すとすれば、嵐のような強打の山を我慢強くガードし続けた田中のハートの強さを挙げておく。近くの席に座っていた元選手らしい観客が連れの人に話しているのが聞こえてきたが、暴走ファイトを見せた小倉も普段は物腰の柔らかい好青年だとか。大人しい性格の選手は意外と物凄いファイターになるんだそうだ。そう言えば、ボクサータイプの選手には悪役タイプの面構えをした選手が多い気もするな(笑)。