駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第3試合・フライ級契約ウェイト(50.5kg)6回戦/●利幸トーレス[大鵬](判定0−3)有富康人[松田]○

この日メインに登場の健文の兄である利幸トーレスは5勝(1KO)2敗の成績。6/25に04年度Lフライ級西日本新人戦準優勝の森栄良平に判定勝ちを収めている。対する有富は中日本地区からの遠征で、戦績は5勝(1KO)1敗。こちらは04年度Lフライ級中日本新人王で、西日本王者・堀川謙一を破った後の西軍代表決定戦で惜敗し、今回はそれ以来の復帰戦。
1R。利幸がデトロイト気味のスタンスから鋭く重たいジャブで先制攻撃。やや大振り気味の強打は有富に防がれるも、有富が得意のインファイトに持ち込もうとするところを上手く凌いで、このラウンドはポイントを取りきったか。
2R。このラウンドは有富が積極的に距離を詰めていってワン・ツーを次々と打ち込む。利幸はカウンターのフックやショートアッパーで迎撃を狙うも、前のラウンドで有効に使っていたジャブが不発気味で、有富の勢いを削げず手数負け。
3R。利幸がオープニングヒットを奪って主導権を掴みかけたが、有富がすぐさま自分の距離に立って形勢再逆転。手数を重ねる中でボディブロー2発、そして打ち合いでは左カウンターで鮮やかなノックダウン。利幸は思わずマットを叩いて悔しがったが、貴重なジャッジ2点分を失うこととなった。
4R。ラウンド前半、中間距離での打ち合いは僅かに利幸がリード。見栄えするフックが印象的。しかし有富はそこから利幸をロープ際に詰めていってボディフックを次々とヒットさせて形勢は互角。
5R。利幸が放つジャブ代わりの左フックが数発ヒットを奪うも、有富はストレート、ワン・ツーなどハンドスピードのあるインサイドブローで反撃して優勢。ラウンド後半にはパワーで利幸を強引に押し込む場面を作ってジェネラルシップをアピールすると、最後に右ストレートをクリーンヒットさせてポイントアウト。
6R。近距離でフック、ワン・ツー合戦。利幸もパワーで魅せるが、有富が精度の高いパンチで利幸の顔面をのけぞらせるシーンが目立つ。手数、ヒット数は互角だがヒットの質で有富やや優勢か。
公式判定は59-54、59-54、58-55の3−0で有富。駒木の採点でも59-54で有富優勢。本来驚く場面ではないのだが、主催ジム所属選手と他地区の選手の試合で至極公平なジャッジが下されたのは、やはり意外。まぁこれも喜ばしい事には違いないので、これは素直にジャッジの英断を称えよう。
さて、復帰戦を勝利で飾った有富はこれでA級昇格。今日は得意のインファイトで完勝といったところで、この内容ならA級でも相手次第で勝ち負け出来るだろう。敗れた利幸は、主導権を掴むのが巧くないと言えば良いのか、とにかく自分のペースを乱された時に挽回する力に欠けているような感じ。1Rで映えていた重く鋭いジャブも劣勢に陥ってからは影を潜め、本来の素質を発揮できないままズルズルと負けてしまったように見えた。既にA級の資格を持っている選手だが、確かに現状は6回戦上位クラスの選手を相手に勝負勘を磨くのが良いのかもしれない。