駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第5試合・フェザー級8回戦/○上原裕介[大鵬](7R2分58秒TKO)原田功雄[江坂]●

上原は7勝(4KO)3敗1分の戦績。4/30の荒川正光戦(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050430#p14)では、やや優勢に試合を運んでいたが、偶然のバッティングの加害者になってしまい、2R負傷ドローとなった。対する原田は7勝(3KO)5敗。昨年12月、結城建一に3RKOで敗れて以来の復帰戦。
1R。両者たびたび接近しては激しくショートブローを打ち合う。原田が左で早くも上原を流血に追い込むが、上原はしつこいボディアッパーからフックを浴びせてヒット数でリード。
2R。上原の強引なボディ攻めがこのラウンドも目立つが、決め手を急ぎすぎて大振りを狙い過ぎか。原田は体を密着させては左で上原の傷口を苛める手数攻め。ジャッジ的には微妙なラウンド。
3R。上原が強引にボディアッパー、顔面へのフックをパワフルに浴びせていく。原田もプレッシャーをかけて上原をコーナーへロープ際へと追い込むが、いかんせんパンチが非力で主導権を確保しきれない。ラウンド全体を俯瞰すれば、ヒット数で勝る上原やや優勢か。
4R。原田が超接近戦を挑んで細かい手数を雨アラレと打ち込む。パワーは全く感じられないものの、軽いなりにヒット数を稼いでいく。上原も後半はフットワークを使って原田のプレッシャーを往なしていくが、自分の攻勢までには持っていけず。
5R。前半は原田の強引な攻めを上原が淡々と捌く地味な展開。しかし後半、上原が打ち合いを挑むと激しい打撃戦となり、上原の左アッパー・右フック、原田の右ストレートがそれぞれ有効。手数、ヒット数は大差無いが、上原のパンチは重く、印象度では水が開いた。
6R。両者近距離で激しい打ち合い。原田がプレッシャーをかけて攻勢に出るが、上原はそれから逃れつつ左アッパー、フックを打ち込む。終盤には上原が右ストレートをクリーンヒットさせるが、原田もコーナーに詰めてラッシュを見せ、互角の形勢。しかしこのラウンド、原田もパンチによる傷を負って出血。
7R。原田はまたも強引に密着して手数を振るう。上原はその原田のガードをアッパーでこじ開けると、強烈なフック、ストレートを浴びせてボクシングの技術で優勢に持ち込む。更に強打をクリーンヒットさせて追い討ちをかけると、ゴング寸前で北村レフェリーが割って入ってTKO。その瞬間、原田はその場に崩れ落ちて動けなくなった。随分前から精神力だけで立っている状態だったのだろうか、随分長い間リングで応急処置を受けた後、セコンドの肩を借りて退場していった。微妙なタイミングのレフェリーストップだったが、原田の様子からすれば大事に至らない限界ギリギリの所だったかも知れない。これは北村レフェリーの好判断だったと特記しておく。
さて、久々の勝利を飾った上原はパンチ力の差をそのままダメージの差に直結出来たのが勝因だろう。ただ、A級選手にしてはやや器用さに欠ける印象もあり、今後ランカー以上を目指すならば硬軟取り混ぜる器用さが必要になって来るだろう。原田は持ち味の打たれ強さで粘りに粘ったが、逆転の決め手になる明確なクリーンヒットに欠けた感が強かった。