駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・ミドル級6回戦/○佐藤幸治[帝拳](1R2分36秒TKO)李朱永[韓国]●

佐藤はアマチュア全日本選手権ウェルター〜ミドルの3階級・しかも5年連続で制覇するなど、“アマ13冠”の鳴り物入りでプロ転向を果たした逸材。今年4月、ラスベガスでのデビュー戦で無名選手を56秒殺に切って取ると、7月には日本凱旋試合で韓国人選手を3RKOに仕留めて現在プロ2勝(2KO)無敗の戦績。
対戦相手の李は、現在韓国Sウェルター級4位。自国では5KOを含む6勝を挙げているそうだが、過去3回の来日ではいずれも1〜4Rまでの早い段階でTKO負けを喫している。悪い意味で年輪を感じさせる余りにも微妙な風貌も相まって、得も言われぬ色物感が漂う。
1R。李は前のめりに突っ込んではオーバーハンドフックを振るうばかりの単調な攻め。体を小刻みに動かしてボディワークをアピールしてはいるものの、ダッキングもまともに出来ない緩慢な動きで、しかもガードも低く鈍いという体たらく。そこへ佐藤が極端なアップライトスタイルから左右フックやワン・ツーなど豪快なコンビネーションを放つと、そのことごとくがクリーンヒットしていった。李も韓国人選手らしい後先を考えないタフさで食い下がり、佐藤の極端に低いガードの隙を突いてクリーンヒットをお返しするものの、無数の被弾で蓄積したダメージでスリップダウンするなど早くも敗色濃厚に。最後は棒立ちになった所へ豪快な右ストレート2発を喰らってリング中央で力尽きた。
佐藤が韓国ランカー(曲がりなりにもな選手だが)を問題にせず秒殺してプロ転向3連続KO勝利を飾った。しかし、極端に低いガードといい、アマチュア時代の名残が色濃いアップライトスタイルからの強打一辺倒のスタイルといい、後手に回らされた時には如何にも脆そうだ。マニア筋でデビュー2戦目の評判が芳しくなかったというのも分かる気がする。現状では日本ランカー以上の選手と戦えば大苦戦は間違いないだろう。国内では層の薄い階級で手頃なライバルにも恵まれにくいだろうし、なるほど海外での活動を積極的に模索したくなるわけだ。