駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・Sフェザー級6回戦/○エドウィン・バレロ[ベネズエラ](1R1分50秒TKO)阪東ヒーロー[フォーラムS]●

1ラウンドでのKOの有無に100万円の懸賞金がかけられた、日本では異例のエンターテインメント・マッチ。デビュー以来の連続1RKO記録保持者・バレロに挑戦者公募で名乗りを挙げた好戦的ファイター・阪東ヒーローが挑む。
この試合のホスト・プレイヤーであるバレロは15勝(15KO)無敗の戦績で、現在WBC25位の世界下位ランカーでもある。対戦相手の殆どは地域タイトル挑戦も無いような無名選手で、派手な戦績をどこまで評価して良いのかは、日本でも過去に見受けられた類似のケース同様に意見が分かれるところだろう。
そして、このバレロに挑むは14勝(8KO)7敗6分の戦績を持つ阪東ヒーロー。6回戦昇格後は勝ったり負けたりの安定しない成績に甘んじてはいるが、元日本Sフェザー級王者・キンジ天野と引き分けるなど一定の実績を残してはいる。今回はベストウェイトから2階級上げての冒険となるが、その勇敢さは賞賛に値する。
なおこの試合では、バレロが1RKO勝ちを収めた場合は彼に100万円、阪東が1R粘り切った場合は勝敗に関係なく100万円、そして阪東が勝利した場合には200万円がそれぞれ賞金として授与される。
1R。ゴング直後から近距離での激しい打撃戦。バレロは左アッパーを起点に強打のコンビネーションを次々と阪東の顔面に突き刺してゆく。阪東もガードを固めてはいるが、バレロのパンチには、それを突き破る威力と異様なまでの当て勘の良さが秘められている。開始20秒、左カウンターでまず1度目のダウンを奪うと、後は阪東の必死の抵抗を力ずくで圧倒。左右のフック、左ストレート、アッパーでクリーンヒットの山を築くと、最後は右フックを顎にジャストミート。阪東はバッタリとうつ伏せに倒れこんで半失神。即、レフェリーストップがかかり、バレロがデビュー以来連続1RKOの記録を16連続に伸ばした。
余りにも強烈、余りにも豪快なバレロの剛打が果敢なチャレンジャーを110秒で粉砕した。今日の試合はイベントの性格上、競技としてのボクシングではなく殴り合いのエンターテインメント・ショーの意味合いが強かったが、それでも実力の片鱗は見て取れることは出来た。攻撃力だけなら一桁順位の世界ランカーと比較しても互角以上ではないだろうか。あとは同等程度の技量を持った選手とマトモに試合をやってどこまで戦えるかだが、それは記録がストップしてからの話になるのだろう。