駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・ウェルター級10回戦/○山本大五郎[金沢](10R1分39秒TKO)シントートング・フルオライトジム[タイ国]●

山本は現在日本Sライト級3位、OPBF同級2位で10勝(8KO)2敗3分の戦績。昨年は1月にPABA王者のダウティ・バハリに地元判定気味のドロー(http://d.hatena.ne.jp/komagi/20050129#p4)、9月にはフィリピン国内王者のディンド・カスタナレスに1R負傷ドローと冴えない成績に甘んじていたが、11月のカスタナレスとの再戦では7RKO勝ちして何とか良い形で締めくくった。ランキングも上げて、いよいよ今年こそは念願のタイトルマッチに挑みたいところだが……。
対するシントートングは、タイ国のSライト級王者でOPBF9位。9勝(8KO)2敗の成績は勇ましいが、その2敗はいずれも来日時のもので、しかもKO負け。昨年8月には現・日本ウェルター級1位の山口裕司[ヨネクラ]に4RKO負けを喫している。
1R。シントートングは、やはりというか“噛ませモード”。山本は様子を窺いつつロープに詰めてボディブローなどを浴びせるが、シントートングも申し訳程度の反撃がヒットに繋がって少差。
2R。山本、このラウンドも相手をロープに詰めつつ慎重な試合運び。前半はシントートングの攻撃が目立つも、後半は山本がボディを連続ヒットし、顔面への強打も当ててリードを奪った。
3R。このラウンドも山本が圧力をかけてジャブからボディブロー。シントートングも速い3連打で反撃するが、ジャッジ的には山本のペースか。
4R。山本のペース。淡々と自分の試合を展開させ、手数・ヒット数で明確な差を奪う。
5R。山本のワン・ツー、ボディ攻めがこのラウンドも的確。シントートングの攻めは迫力無く、淡々と受け流される。
6R。山本が右ストレートを再三有効打としてヒット数を積み重ねる。シントートングの反撃はやはり散発的。
7R。完全に消極的な戦い振りのシントートングに、山本はワン・ツーを連打して細かくヒットを重ねる。ポイントアウトはしているが、ここまで形勢に差がついても倒す気配すら見えないのは物足りない。
8R。山本はこのラウンドも左フックをクリーンヒットさせるなどしたが、詰めきれず。時間の多くをクリンチ気味の膠着で浪費した。
9R。山本のワン・ツー攻めは有効打多数も、ダウンを奪うのに必要な勢いが見られず。淡々と時間を潰していったようなラウンド。
10R。山本は漸く積極的に倒しに行く姿勢を見せ、左フック、右ストレートの強打を連発すると、シントートングは戦意を喪失。レフェリーが試合を打ち切るようにTKOを宣告した。
山本はとりあえずフルマーク相当の完勝で2連勝。しかし“噛ませモード”に入っているタイ人を相手にダウンも奪えなかったのは物足りなさが残った。要所でカウンターを貰ってしまったために警戒感が増したのが災いしたか。しかしこの試合振りは日本上位ランカーとしては落第点だろう。