駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・Sバンタム級8回戦/○児島芳生[明石](7R2分42秒TKO)内山淳[倉敷守安]●

児島は6勝(1KO)5敗2分の戦績。昨年12/25に井戸本雅也[大阪帝拳]を降して(→http://d.hatena.ne.jp/komagi/20051225#p26)A級昇格。今回が初の8回戦。一方の内山は、7勝(4KO)2敗の戦績で、04年度の西日本新人王戦バンタム級準優勝者。こちらも05年に6回戦を2戦2勝で突破し、今回がA級緒戦となる。
1R。両者完全なファイター型選手だけあって、まるで申し合わせたかのように頭をくっつける程に接近して激しい乱打戦。しかし流石はA級8回戦、フックやアッパーを上下に散らして精度の高い攻防が展開され、見応えのある場面が続出。数え切れないぐらいのパンチが交錯する中、内山の左アッパーで児島がグラつく場面があって、これがこのラウンドのハイライトとなった。
2R。このラウンドも終始超接近しての激しい乱打戦が展開された。児島がラウンド前半、ショートアッパー、フックを顔面に浴びせて優勢も、内山もラウンド中盤以降ボディにしつこくヒットを重ねていって互角かそれ以上の形勢。
3R。三たび乱打戦。児島がラウンド前半からやはりショートフック&アッパーを有効打としてリードを奪う。内山もやはり粘り強くボディ攻めで食い下がるが、このラウンドは終盤に児島がアッパーをクリーンヒットさせて内山グラつき、これがジャッジに大きく影響を与えたか。
4R。果てしない乱打戦が続く。内山が左フックをクリーンヒットさせて先制も、児島は臆せず右アッパー、左フックを力強く打ち込んで形勢挽回。少差ではあるが、勢いは児島か。
5R。内山はややスタミナを失い、攻めが精度を欠いて乱雑になって来た。児島はそれに乗じてジャブを増やして自分のペースと距離を引き付ける。内山、懸命のボディ攻めも、児島はショートフックで度々見せ場を作ってジャッジにアピール。
6R。あっぱれにも内山、バテながらも手数を増やして猛攻を仕掛ける。これを児島が捌き切れず、ラウンド序盤を失うが、それ以後は要所で右フックなどを有効打、クリーンヒットとしてリカバー。手数の内山、精度とヒット数の児島、さてジャッジはどちらを支持しただろうか。
7R。矢尽き刀折れた感ある内山、ただ手数出しているだけという状態。それに大して児島はジャブ、フックで精度の高い攻撃で圧倒。最後は打たれたかバッティングかは微妙も、内山が戦意を阻喪して大きく後退した所で野田レフェリーが割って入ってTKO。内山はストップに不満気だったが、形勢に差がついていただけに止むを得ないか。
児島が豊富なスタミナを活かして、壮絶な乱打戦を制した。地味ながら確かな勝利と言っていいだろう。ショートレンジでの戦いは本当に得意なようで、今回は対戦相手との相性も良かった。敗れた内山は5R以降、明らかに動きが落ち、これが勝負の分かれ目となった。地力そのものは8回戦級で、これを後半ラウンドでも維持出来るようになれば……。