駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第3試合・Sバンタム級8回戦/○小阿洋一[Gツダ](判定3−0)ルートサヤーム・シッスーイ[タイ国]●

小阿は04年度バンタム級西日本新人王。地区対抗戦以降を骨折でキャンセルし、昨年12/15に1年3ヶ月ぶりの復帰を果たしたばかり(千木良恒平[角海老宝石]に2RTKO勝ち)。戦績は10勝(1KO)1敗で、唯一の敗戦は03年度の西日本新人王Sフライ級決勝で、昨日熟山竜一[JM加古川]に惜敗した中野圭介[明石]に敗れたもの。
対するルートサヤームは、11勝(8KO)3敗、ムエタイ40勝16敗との触れ込みだが、その真偽を含めて詳細は全く不明。boxrecにも過去の戦績は未掲載で、勿論これが初来日となる。
1R。ルートサヤームは、やはりというか“噛ませモード”。小阿はサウスポーのボクサースタイルから、右ジャブを起点にフックをクリーンヒットさせて勢いづき、更にジャブ、左ストレート、右アッパーなどを次々とヒット。非力ゆえにノックダウンの気配は無いが、まずは上々の立ち上がり。
2R。小阿は絶えず手数を出して、ジャブ、ストレートを不完全ながらヒットさせてゆく。ルートサヤームはカウンターを申し訳程度に狙う消極さで形勢は大差となる。終盤、小阿がロープに詰めてラッシュしたが、その申し訳程度のカウンターを喰らって意気消沈。
3R。ロープを背負いグルグル回るばかりのルートサヤームに対し、小阿は自在の攻め。手数、ヒット数は大差がつくが、所々でワン・ツーを不用意に喰ってしまい仕留めきれない。
4R。淡々と3分が流れたラウンド。ルートサヤームがやや手数を増やした分、小阿の被弾も増えて戦線は停滞。ジェネラルシップとアグレッシブは小阿がリードしているためジャッジ的には少差ながら優勢だが、有り体に言って極めて退屈な試合になって来た。
5R。ロープ際を伝って逃げるルートサヤームに、小阿がストレート、ワン・ツー、アッパーなどで立て続けにヒットを奪うが、無理なKO狙いに出た途端に動きが荒れてしまう。根っからのボクサー型が強打を振り回せばそうなるのも当然だが……
6R。小阿、何故かこのラウンドは消極的で、ルートサヤームのボディやワン・ツーを不完全ながらもらってしまうシーンが目立った。淡々と体感時間の長い3分間が流れ、完全な凡戦に転落。
7R。小阿はこの期に及んでフェイントからジャブを小刻みに浴びせる慎重な攻めに転じ、凡戦ムードが更に色濃くなる。しかもルートサヤームの苦し紛れの攻撃までいくらか貰ってしまい、ほぼ形勢互角のラウンドに。
8R。ようやく小阿はアグレッシブにワン・ツー、右アッパーでヒット多数奪うも、KOに繋がるようなクリーンヒットは皆無。ただ優勢を印象付けてポイントアウトを果たしただけで終わった。
公式判定は三者とも80-72のフルマークで小阿。駒木の採点は79-73小阿。
小阿が無難に復帰第2戦をクリアしたが、典型的な大凡戦。ラウンド終了ごとの拍手もまばらで、客のあくびと携帯の着信音ばかりが聞こえる試合になってしまった。もっとも、これは小阿の責任というよりも、非力なボクサー型選手に噛ませのタイ人を宛がったジム側の不始末だろう。観客よりもジム側の都合を優先したマッチメイクの最たるもので、こういう試合を平気で組む主催者の神経を疑う。