駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・Sフライ級8回戦/○奈須勇樹[Gツダ](2R2分32秒TKO)チャーンリット・オースワナシン[タイ国]●

セミファイナルは05年度フライ級の全日本新人王・奈須勇樹のA級緒戦。
奈須は戦績9勝(7KO)無敗の戦績で、新人王と併せて獲得した日本フライ級10位のランキングを未だにキープしている。キラーショットの右ストレートがどこまで通用するのか興味は尽きない。
一方のチャーンリットだが、何とこの日が国際式デビュー戦とのこと。ムエタイで200戦165勝の猛者という触れ込みも、どういう理由でこの相手を奈須の相手にわざわざ日本に呼んで来たのかがサッパリ判らない。
1R。チャーンリットはタイ人選手にしては攻撃的な姿勢。様子を見ようとした奈須に対し、積極的に仕掛けて手数を稼ぎ、右ストレート2発ヒットして少差ながら優勢を築く。奈須はパンチの照準がズレている感じで久々の不調モード。左アッパー1発当てて意地を見せたが、肝心の右ストレートは当たる気配が無い。
2R。奈須は以前からの被弾癖を出してしまい、チャーンリットのジャブ、ストレートを軽度ながら再三再四喰って大苦戦。しかしラウンド後半、圧力をかけてロープにつめた所で一気呵成のラッシュ。溜めたストレスを発散するかのような高速連打で反転攻勢すると、チャーンリットはロープ際を伝って逃げるばかり。奈須はこれを追い詰め、最後はロープに固定するような感じで必殺の右ストレート2発。たまらずチャーンリットが四つん這いに崩れ落ちると、野田レフェリーが早めのTKO裁定。チャーンリットはすぐさま立ち上がり健在をアピールしたが時既に遅し。
奈須がスランプ気味で、途中はどうなることかと思われたが、強引なラッシュとレフェリーのサポートでTKO勝ちを強奪。結果としては豪快なスコアとなったものの、試合直後のインタビューで奈須本人も実力不足を認めた通り、図らずも当面の課題が一気に噴出する試合となってしまった。今後A級で上を目指すならば、好・不調の波を克服する事と、手数多い相手の攻撃を捌くだけのディフェンス技術の習得が必須課題となるだろう。