駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・Sフライ級10回戦/○久高寛之[Gツダ](3R3分09秒KO)ユーシ・ウアサンパン[タイ国]●

メインは04年フライ級全日本新人王にして、昨年に世界ランカーに伸し上がった久高が勇躍登場。
久高は11勝(3KO)3敗1分の成績。昨年は、4/4に竹村貴宏[明石]に僅差判定勝ち、10月に清水智信[金子]に判定負け、そして12/3にバート・バタワンを2RTKOに降して、ライトフライ級ながら世界ランクを獲得……という浮き沈みの激しい1年を過ごした。現在WBA9位、WBC30位のランクを保持している。
対するユーシは現在19歳ながらキャリア5年というタイならではの経歴を持っているらしい。この日発表された戦績は15勝(2KO)5敗で、どうやら彼は国際式専業の選手らしい。
1R。久高は様子見中心も、ナチュラルSフライ級の体格であるユーシのリーチの長さを測りかね、つまらないストレートを2発浴びて早々に劣勢。途中一度深く踏み込んで得意のワン・ツー合戦に打って出るも、ヒットは1発にとどまり不発気味。ユーシは突き放すようなジャブで手数多く、本気でポイントアウトを狙うような感じで戦意十分。
2R。久高はこのラウンドもリーチ差のある相手を明らかに攻めあぐむ。一度は鋭いワン・ツーを見舞うも、あとはジャブで距離を探る静かな展開が続く。そんな中でも、ユーシの手数豊富なジャブが数発久高にヒットしており、このラウンドも形勢微妙。
3R。ユーシの先手、先手の攻勢に久高は明らかに苦戦。なかなかユーシの懐に飛び込んで行けず、ズルズルと時間を浪費する。ひょっとするとこのままラウンドを重ねるのでは……という悪い予感が頭を掠めたラウンド終了直前、久高は半分クリンチのような密着状態から無理矢理な右ショートフックを2発テンプルにクリーンヒットさせ、終了ゴングが鳴るのと同時にノックダウン。面喰らいつつもユーシは立ち上がるが、大黒レフェリーは10カウントを数えて試合を止めた。
1階級上の相手に手を焼かされた久高だが、力業と表現するべき右ショートフックでノックダウン、レフェリーの早いストップにも助けられて逆転KO勝ちを果たした。しかしステップワーク、ガードなどの緩慢さが目立ち、日本タイトル以上を狙うには力不足の現状か。無名のタイ人ノーランカーに世界ランクを奪われる日本人を見る羽目になるのではないかと、一瞬だがヒヤリとさせられた。もっとも、彼の持ち味は、似た体格の相手に打撃戦を挑み競り勝つ所にあるので、今日の相手は相性的に最悪と言って良いのだろうが……。