駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・フェザー級6回戦/○吉村厚志[Gツダ](判定3−0)忠地啓太[ウォズ]●

吉村は3勝(1KO)4敗2分の戦績。勝ち味に遅いボクシングで長く負け越しが続いているが、4回戦では上位クラスの地力を持ち、近況も12/23に津田岳志[ウォズ]に判定勝ち、7/31に濱田英一[大阪帝拳]と引き分けるなどしている。今回は2つの引き分けを1勝と換算してB級に昇格した上で初の6回戦。
対する忠地は6勝(3KO)3敗。05年度の西日本新人王戦ではSバンタム級で決勝進出を果たすも、その決勝の高野愛[塚原京都]戦、そして12/4の中井五代[大鵬]戦の2戦にいずれも惨敗のKO負けとスランプに悩んでいる。やや相手のランクを落としたこの試合で態勢を立て直したいところなのだが……。
1R。サウスポー型を基本にスイッチ風の変則ファイトスタイルである吉村、状況に応じて左・右両方でジャブ、ストレートを打ち分ける小器用な戦い方で主導権を掌握。ストレート、フックを度々ヒットさせて手数・ヒット数でもやや有利。忠地は4回戦時代の荒々しさは影を潜め、慎重なファイトに終始するも守勢に回らされて迫力不足。
2R。吉村、このラウンドもワン・ツーに時折スリーまで続く連打を決めて細かくヒットを集める。右フックもキレが良い。忠地はやや攻めあぐむ感じで、フックで手数をまとめようとするがヒットに繋がらない。
3R。吉村の優勢が続く。ストレートをクリーンヒットさせて忠地を怯ませると、コーナーに詰めてラッシュ。しかしそこで吉村は詰めきれず、逆に忠地のフックを浴びて一歩後退。だが吉村はラウンド終盤にもう一度クリーンヒットからコーナーに詰めてラッシュを試みるなど形勢は大差が開いた。
4R。このラウンドも吉村が攻勢。やや近い中間距離からワン・ツー、フックでヒット多数。忠地も踏ん張って左右のフックで奮闘するも、あと一歩の所でかわされて有効打が奪えない。
5R。吉村、このラウンドもアッパー、右フック、左ストレートをクリーンヒットさせるなど大差優勢。忠地も戦意は依然として高いが、狙い撃ちする余裕が無い分だけ手数が大雑把になり命中率が著しく悪い。
6R。吉村のワン・ツー、フック、アッパーが冴えてこのラウンドも有効打連発。忠地は大振りのフックを振り回すばかりで不発弾の山。なんとか終盤、1発有効打をお返ししたが、劣勢挽回には程遠かった。
公式判定は60-54、60-54、59-55の大差で三者とも吉村を支持。駒木の採点も60-54のフルマークで吉村。
吉村は豊富な練習を積んでいるのか、自信に溢れた戦い振りでB級緒戦を完勝。ついに通算戦績を五分に戻した。3Rの大攻勢でノックダウンを奪えなかった辺りに詰めの甘さも窺えるが、6回戦でもう1勝してA級までは上がれそうな印象。敗れた忠地は、試行錯誤している内に完全に自分の向かうべき方向を見失っている印象。攻守共にぎこちなく、後手後手に回っている内にスタミナを失って惨敗した。4回戦時代の攻撃一本槍スタイルにも、昨年暮れに試した守備優先戦術にも限界を感じているのだろうが、未だその代わりとなる新スタイルを確立出来ないまま中途半端な状態で試合に臨んでいるような感じ。これでは今後も苦戦も免れないだろう。