駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・フェザー級6回戦/●丹羽賢史[Gツダ](判定0−3)玉越強平[千里馬神戸]○

続いては、千里馬神戸ジムの副将格・玉越強平が登場。格下のA級ボクサーを相手にした調整戦。ただこの人の場合、1年以上前から調整戦をやってるわけなのだが……
さて、格下ながら赤コーナーの丹羽は5勝(2KO)5敗3分の戦績。しかし昨年は5月、8月、12月と戦っていずれも敗れており、やや頭打ちの現状か。
対する玉越は15勝(6KO)4敗5分の戦績で、現在日本Sバンタム級1位。03年6月に、当時無敗の日本1位ランカーだった池原信遂[大阪帝拳]を破ってランクインし、04年6月には中島吉兼[角海老宝石]が当時保持していた日本王座への挑戦に漕ぎ着ける。が、このチャンスを4R負傷ドローで潰してしまい、それから1年半以上、捲土重来を期して格下日本人選手相手の調整戦が続いている。その風貌やノックアウトよりも堅実な勝利を志向する慎重なファイトスタイルなどを見ていると、思わずK−1の武蔵が想起される。
1R。玉越は自らジャブを放ってペースを築き、左フックのダブルで有効打。丹羽もワン・ツーでヒットを奪うが、主導権を失ってロープを背負う場面が多く、ジャッジに対する印象は良く無さそうだ。
2R。玉越が前半からワン・ツーで攻め立て、ストレートをクリーンヒット。しかし格下相手に気を抜いているのかガードが低く、ラウンド後半からの打ち合いでは、丹羽の捨て身のワン・ツー、強打を不完全ながら喰ってしまう。
3R。丹羽が玉越の動きを見切ったような感じで、ジャブをビシビシと当ててストレートでも有効打。更にはカウンターまで決めてしまう。玉越も手数こそ多いが、丹羽に距離を潰されガードを固められで完全に不発。このラウンドに限っては、どちらがランカーだか判らない。
4R。玉越がガードされるのも構わず手数攻めで主導権を強引に奪う。クリーンヒットこそ無いが、ガードの隙間からヒットを連発。丹羽も狙い撃ちでヒットを奪うものの、このラウンドは守勢に回らされた。
5R。玉越の手数攻めが続く。ほぼ全ての時間帯をショート連打に費やし、場面場面でヒット数も加算してゆく。ただし迫力には欠け、何とかポイントアウトをしようといったところか。丹羽は時折玉越をコーナーに詰めて攻勢を仕掛けるが、ラウンド全体の優勢確保には至らない。
6R。このラウンドも玉越は判定勝ち狙いの手数攻め。丹羽も戦意高く反撃するも、ヒット数に恵まれず。結局、玉越が手数とジェネラルシップで勝って、どうやらこのラウンドも10-9を勝ち取った。
公式判定は60-54、59-55、59-55の3−0で玉越の勝利。駒木の採点も59-55で玉越優勢。
玉越が一応はランカーとノーランカーの格の差を見せ付けたが、今日のランクの相手にポイントアウト狙いに徹しなくてはならないようでは、勝者に申し訳ないが先が思いやられるといったところ。そろそろ王座を狙う挑戦者らしい攻撃的なファイトが見たくなって来た。敗れた丹羽は、今日のところは格負け。3Rの攻勢を次のラウンド以降に繋げられない辺りに、殻を破り切れない現状が象徴されている。