駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1試合・フェザー級4回戦/●吉田文郎[ハラダ](判定0−3)新岡崇宏[ヨシヤマ]○

第1試合は未勝利選手同士のオープン戦。吉田は04年、05年に各1試合ずつのキャリアで2敗、新岡は04年12月のデビュー戦に敗れて以来のリングで、戦績は1戦1敗。
1R。吉田の動きは試合勘や技術といったものが全く感じられない。雑なステップから繰り出されるパンチは“ワン・ツーのようなもの”。対する新岡もジャブやフックの打ち方は素人目に見ても未熟さが見て取れるが、サウスポーから繰り出される左ストレートが再三クリーンヒットして優勢を築く。しかし新岡はディフェンスも粗雑で吉田の右ストレートを被弾したりもする。
2R。新岡が左ストレート、フックで有効打も、吉田から圧力を掛けられて低いガードに右ストレートを再三浴びせられて苦戦。その吉田の攻めも殆どクリンチ気味に押しているだけなのだが、曲がりなりにも主導権と手数優勢は奪ってこのラウンドを終えた。
3R。新岡は吉田の攻撃に合わせる形で、空いたガードに左ストレート、アッパーでクリーンヒット、有効打連発。しかしラッシュを仕掛けようと詰めると吉田の弱々しい右で迎撃されて甘さを露呈。吉田は何とか凌いでいるが、スタミナ切れの様相で、体力面でも至らない所を露呈する。
4R。前半はインターバルで一息入れた吉田が、攻め疲れの様子を見せる新岡にメクラ打ちの手数攻めを敢行するが、いかんせん技術不足の悲しさで決定打には全く繋がらない。ラウンド終盤、新岡は左ストレートを2発3発クリーンヒットさせて形勢逆転、確実にポイントアウトを果たす。
公式判定は三者とも40-36で新岡。駒木の採点は39-37新岡。
およそ“プロボクシング”という名称に相応しくない、最低限以下レベルの酷い試合。まだ動きがボクシングとして成立していた新岡にジャッジの支持が集まったが、フルマーク勝利と言えども全く誇れる内容ではなかった。雑なジャブやオープン気味のフック、そして甘いディフェンスをどうにかしないと、並クラスの選手が相手なら秒殺でキャンバスに沈められる事だろう。
敗れた吉田だが、今日の動きを見る限り、この技術でプロテストに受かった事も、既に2戦と1年以上のキャリアを経てなおこの内容だという事も、それでいて3回目の試合出場にゴーサインが出されるという事も、その全てがまるで理解出来ない。関係者への失礼と僭越を承知で敢えて言うが、こんな選手をプロのリングに上げてはいけない。観客の時間とカネの、そして選手本人の寿命の無駄遣いである。