駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第5試合・バンタム級6回戦/○村田匡教[塚原京都](5R2分47秒KO)中村公彦[大星モリガキ]●

ここから2試合は、前年度の西日本新人王戦を大いに盛り上げた2人が出場する6回戦。
村田は5勝(4KO)7敗の戦績。負け越しの戦績で6回戦のまま随分と足踏みしており、最近は年に1試合というペースで、練習も休んだり再開したりという活動のようだ。しかし過去の対戦相手を見ると、国重隆[大阪帝拳]や竹村貴宏[明石]など、後の日本ランカーやA級選手の名前も多く見られ、伸び悩む成績は相手運の悪さが関係しているとも言えるだろう。
対する中村は05年度新人王戦のバンタム級西軍代表。5勝(2KO)2敗2分の戦績で、既に西日本決勝と西軍代表戦で6回戦2勝を果たしているが、今回は敢えてB級に留まっての再起戦となる。
1R。村田はガードを上げて、近距離から精度とパワーのあるパンチを打ち込み、早々に左カウンターで1度目のノックダウン。中村はいつもに比べるとやや消極的ながら、ディフェンス甘い村田にヒットを返していくが、ラウンド終盤には低いガードを突かれ、右ストレートをまともに被弾し2度目のダウンを喫する。何とか立ち上がってラウンド終了まで粘ったが、早くも採点上3ポイントのビハインドを背負う羽目に。
2R。2度のダウンで目が醒めたのか、このラウンドは中村がペースを握る形で打撃戦へ持って行き、ショート連打や右ボディアッパーなどで手数勝ち。村田はガードを固めつつ反撃試みるも、攻めあぐんだ。
3R。中村、このラウンドも先手、先手で手数先行も、後半に入ると村田が中村の打ち終わりを狙ってボディフック、ショート連打で有効打を奪う。中村はパンチの喰い方が見栄え悪く、ジャッジの心証を損ねそうな印象を受ける。
4R。中村が新人王戦時のような執拗な密着&手数攻め戦法で強引にジェネラルシップを握る。村田も隙を見てワン・ツーやフックで有効打を奪うが、守勢に回らされた時間が長く、僅かに劣勢か。
5R。村田が中村の半ば乱暴な手数攻めを捌きつつ、要所で大振りのフックやアッパーを振り抜いてクリーンヒット、有効打。打たれながらも中村は懸命に粘ったが、遂にこの試合3度目のダウン。懸命に立ち上がるが、レフェリーは足元の覚束なさを認めて10カウントを数えた。
村田はガードを固めて中村の隙を突く作戦。1Rで望外だったろう2度のノックダウンで大差をつけると、あとは中村の猛烈な反撃を粘り強く守り抜き、5Rの反転攻勢に繋げ切った。実戦タイプのパワーヒッターの面目躍如といったところだろう。村田はこれが03年11月以来の勝利、そしてデビュー7年目にしてのA級昇格である。今後はそう長くないだろうが、納得ゆくまで現役を続けてもらいたい。
敗れた中村は、新人王レベルではない“本当の6回戦”の壁に敢え無く跳ね返された。5Rで3度のダウンを喰らう甘いディフェンス、そしてスタミナと手数で強引に押し切るだけのファイトスタイルでは通用しないという事だろう。一応はA級ライセンスの資格を持つ選手だが、現状の展望は厳しいと言わざるを得ない。