駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第6試合・Sフライ級6回戦/○久田哲也[ハラダ](4R2分08秒TKO)早野吉男[尼崎亀谷]●

久田は4勝(2KO)2敗の戦績。前年度新人王戦では、フライ級西日本ベスト4で、後の全日本新人王・奈須勇樹[Gツダ]との激闘は、西日本のマニアの間で今なお度々話題に昇る名勝負であった。しかし昨年12月の復帰戦では、4回戦でやや格下の相手に大苦戦。何とか勝ちは拾ったが、前途を懸念させる試合内容だった。今回は新人王戦をスルーして6回戦での再出発。気持ち良く勝ってライバルを追撃したいところだが……。
対する早野は5勝(0KO)8敗1分の戦績。03年のB級昇格後は引き分けを挟んで3連敗中と完全に伸び悩んでいる。最近の試合内容も4回戦の延長上のようなファイトで、苦戦が続きの近況である。
1R。早野はオープンブロー気味ながら手数攻めを仕掛けて、ラウンド中盤まで主導権を握る。久田は姿勢がやや前のめり気味でバランス悪く手数も伸び悩んだが、逆襲に転じ、フラッシュ気味ながらダウンを奪うとあとは近距離から有効打を連発した。
2R。早野は先手でワン・ツーからショートブローを連打。打撃戦になってもほぼ互角に戦い抜いて、着実にヒット数を増やしてゆく。久田はパンチ1発ごとの威力は優位だが、思うように距離とタイミングが合わず、折角のポテンシャル上位も宝の持ち腐れ。
3R。久田は、相手に攻めさせておいてからの右ストレート迎撃で有効打重ねてゆく。だがラウンド終盤になると早野もワン・ツー攻めを続けてヒットに繋げて攻守逆転。ジャッジ的にはかなり際どい内容と成った。
4R。早野がアグレッシブにワン・ツーで攻撃。久田はこのラウンドも右ストレートで迎撃するも、早野の勢いに飲まれて守勢気味。だがこれまでの久田の強打ヒットの積み重ねは、早野に顔面の腫れと出血を伴うキズを負わせていた。リングドクターは無慈悲にも試合終了を勧告し、正当な加撃による負傷の悪化という事でTKO判定が下った。
久田は、1発ごとの攻撃力は8回戦クラスだが、他の技術が付いて来ていない。奈須との試合が好印象を与えていた選手だが、今から考えると判定決着では競った採点結果になる奈須を相手にフルマーク負けだったわけで、ひょっとするとそんなに買い被れる選手ではないのかも知れない。現状の地力は6回戦中〜上位クラスで、もっと技術的な上積みが無ければ今後は伸び悩む可能性もある。
早野は技術不足を補う気迫ある攻撃で大いに健闘したが、ドクターストップに泣いた。負傷判定なら際どい結果も考えられただけに、これは少々可哀想な裁定だったように思う。