駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・Sバンタム級10回戦/○三谷将之[高砂](8R2分07秒TKO)宇野寿修[岐阜ヨコゼキ]●

※宇野の負傷(正当な加撃によるもの)に伴うドクターストップ。判定で大差がついたダルファイトだったため、試合打ち切りの性格が強い。
今年2月にハイメ・オルティスを(疑問を挟む余地のある採点ながら)判定で降し、現在WBCバンタム級の14位にランクされる三谷は、16勝(8KO)1敗の戦績。この試合が事実上の日本タイトル挑戦前哨戦となるだろう。
対する元東洋・日本ランカーで、OPBF王者時代の長谷川穂積の初防衛戦の相手を務めた事もある*1宇野は、16勝(11KO)6敗2分の戦績。しかし最近は2連敗中で、ピークを過ぎた感もある。


三谷は例によってハンドスピード豊かなジャブ・ストレートと素早いステップワークで“スピード責め”を展開して、宇野を終始翻弄して完勝。ただし形勢では大差をつけて負傷TKOまで勝ち獲ったものの、明らかに緊張感の希薄さが漂うダルファイトで、KOに結びつくシーンは皆無に近かった。結局は以前からの非力さを浮き彫りにした試合だったとも言え、事実、試合後勝利者インタビューに応えるの三谷の第一声は「(自分が)情けないです」であった。前途風浪未だ高し、といったところか。
敗れた宇野だが、今日の動きは元東洋・日本ランカーだった頃の残滓すら見出せない酷いもので、もはや完全にロートルと化した感がある。試合振りも“やたらガードの巧い噛ませタイ人”といった感じで、攻めるタイミングを見出せないまま消極的なファイトに終始した。今日の試合で得た収穫は絶無で、逆にこの数年で失った色々なモノの多大さを痛感させられるような大惨敗。ここから往時の姿を取り戻すには、奇跡が徒党を組んでやって来るぐらいの話が無ければ困難を極めるだろう。

*1:長谷川が終始優勢に試合を運びながらも、悪名高い「名古屋判定」で記録上は“辛勝防衛”