駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・フェザー級6回戦/○佐梁孝志[明石](判定3−0)藤本弘明[正拳]●

佐梁は5勝(1KO)7敗の戦績で、4/9に川波武士[大鵬]に敗れてから短期でのカムバック。昨年12月に6回戦で1勝を挙げており、既にA級昇格にリーチが掛かっている。対する藤本は5勝(3KO)3敗1分の戦績で、こちらは昨年3月に当時プロ3戦目の6回戦ボーイだった健文・E・トーレス[大鵬]に敗れて以来の再起戦。元々はSフライ〜バンタム級の選手であるが、今回は調整期間不足から2階級上での出場となった。以前にも同様の理由でSフェザー級で出場した事があり、その際は勝利を収めている(5勝目となった4回戦の試合)。
公式判定は野田60-54、半田60-54、上中59-55の3−0で佐梁。駒木の採点は「西」60-54「東」60-55で佐梁優勢。
身体能力はともかくとして、技術的・内容的には6回戦レベルとは言い難い乱暴な手数合戦。1Rから両者力任せにストレート、フック中心の強打を乱発し、中盤戦以降はスタミナ消費に伴ってメリハリの無い内容となって泥仕合化。最終6Rに至っては、両者手を振り回すばかりで、両陣営のトレーナーでなくとも頭が痛い3分間であった。これが両者デビュー戦なら「活きの良い新人が現れた」と喝采を送るところだが、6回戦ボーイがこの調子では困る。
試合の趨勢自体は、体力面・技術面の能力値で相対的上位の佐梁が各ラウンドで手数・ヒット数で優位を確保して結果的には大差の判定勝利。ただし記録上の1勝を追加出来たという以外は何ら収穫の無い試合で、この試合ぶりをA級8回戦に持っていったら、今度は逆の採点結果で大敗する事だろう。今度は腰を据えて落ち着いた戦い振りを望む。
藤本は2階級増量のハンデがあったにせよ、殆ど自滅に近い不甲斐無い戦い振りだったとしか言いようが無い。ラウンド開始当初に攻勢を仕掛けても1分間と体力が保たず、苦し紛れに放つパンチは袈裟斬りチョップ。4回戦は相手関係と身体能力で何とかなったのだろうが、今日の相手にこの内容で大差負けでは今後の展望も非常に厳しいと言わざるを得ない。1年前の健文戦の観戦記でも同様の事を述べたが、“必殺遊び人”の異名を返上するような心構えで真摯にボクシングと向き合って欲しいと切に願う。