駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第8試合・フライ級6回戦/●久田哲也[ハラダ](判定1−2)山田卓哉[エディ]○

セミファイナルはハラダジムの若手有望株の1人、久田がA級昇格を賭けて戦う6回戦。
その久田は5勝(3KO)2敗の戦績。昨年の新人王戦では激戦のフライ級で西日本準決勝まで進出するも、後の全日本覇者・奈須勇樹[Gツダ]に敗れて敗退。その後、昨年12月、今年4月と連勝を飾っているが、試合内容がやや低調なのが気になるところ。一方の山田は3勝(0KO)2敗2分。もともとはライトフライ級を主戦場に活躍していたが、最近ではフライ級で試合する事が増えている。今回は初の6回戦。
1R。山田が持ち前のアグレッシブさを全開にして手数攻め。左ジャブ→右アッパー、右ストレート→左フックという、変則スイッチとも言えるトリッキーな攻めで主導権を奪った。これに対し久田は、カウンターからボディアッパー中心のショートブローで反撃して食い下がる。
2R。山田の変則的なコンビネーションがこのラウンドも機能。更に左フック、右アッパーなどで細かくヒットを重ねて手数優勢。久田も時折連打やロープに詰めての攻撃を見せるが散発的。
3R。このラウンドも山田は先手、先手のアウトボックス。巧みに相手の距離を外しながら細かい手数や狙い撃ち気味のジャブで中盤まで優勢に運んだ。だが久田は攻めあぐみつつも戦意衰えず、ラウンド終盤に右ストレートをクリーンヒットさせてダウン寸前の場面を作った。山田はかなり効かされていたが懸命にクリンチで粘りこんだ。
4R。山田は前ラウンドの後遺症も少なく、動きに翳りは殆ど見えない。久田の圧力をクリンチ・ステップワークで捌きつつ、細かい手数とヒット数を稼いでゆく。久田も左フックをクリーンヒットさせて見せ場を作るが、3分間で見栄えするシーンが少なく、印象度からすれば微妙。
5R。久田が圧力をかけつつの左強打で有効打を奪って先行。しかし山田もリードジャブで距離を取ると、要所でジャブ、フックをカウンター気味に合わせてヒットを重ね、終わってみれば互角かそれ以上の形勢。久田はスタミナが切れてきた。
6R。最後のラウンドまで冴える山田のインサイドワーク。手数を出しつつ、クリンチ、ステップワーク、ショルダーブロックを駆使して久田にまともな攻撃をさせない。更に左アッパーとワン・ツーでヒット数も確保し、攻撃面でも優勢。久田の見せ場は右ストレート1発のみ。
公式判定は大黒58-57、野田58-57(以上、山田支持)、北村58-57(久田支持)。駒木の採点は「西」59-55「東」59-56でいずれも山田優勢。
山田が細かい手数と渋いインサイドワークで6ラウンドを凌ぎきり、アグレッシブとリング・ジェネラルシップの要素で終始優勢に立った。パワー不足を技術をカバーする、テクニシャンタイプのお手本のような戦いぶりで殊勲の白星を挙げた。スタミナ面の不安も無く、今日の試合振りが再現出来るのならば6回戦でもう1勝できる可能性も十分にある。
久田は自分の持ち味を完全に封殺されて完敗。今日は全く自分の試合をさせてもらえなかった。これまで2試合ほど勝っているのが不思議な程の内容だっただけに、遂に来るべき時が来たかといったところ。6回戦以上で戦うには、もっと試合運びが上手くならなくては厳しい。