駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第1試合・フェザー級4回戦/○黒本昭[尼崎](判定2−1)柳井育夫[大鵬]●

両者戦績は黒本1勝(1KO)無敗、柳井2勝(1KO)2敗2分。黒本は5/21のデビュー戦を秒殺KOで飾っており、実質今日が2度目のデビュー戦のようなもの。柳井は昨年の西日本新人王戦準優勝者だが、今年度は緒戦で思わぬ敗北を喫し、この日が再起戦ということに。
1R。黒本は精度高いコンパクトな左フック中心の攻めで有効打を量産。打撃戦でも打ち合いの“第一波”を優勢に支配して主導権を手放さず、左フック合戦で薙ぎ倒し気味のノックダウンも。しかし柳井も黒本が打ち終わりのディフェンスが甘いと見るや狙い撃ちに出てフック、ストレートでクリーンヒットや有効打をお返しする。
2R。柳井が黒本の拙いガードを突く右ストレートやクロス気味のフックで有効打を連発。上下の打ち分けも効果的。だが柳井も頭の位置を固定したまま戦ってしまい、細かく連打を貰う場面があって印象が悪い。
3R。両者とも疲れが見え始めて来たが、柳井が足を使いつつ手数を出して優位に立ち、ロープ際で連打を浴びせて数的優勢も確保する。だが黒本もガード上やボディに強打を集め、やられっ放しでは終わらない。
4R。近い距離での打撃戦。序盤から黒本が上下に的確なヒットを集めてリード。柳井は中盤から強打攻めで攻勢に出るが、これはやや強引でヒットに結びつかず、劣勢を覆す所までは行かずに終わった。
公式判定は北村39-37、半田38-37(以上、黒本支持)、洲鎌38-37(柳井支持)。駒木の採点は「A]「B」とも38-37で黒本優勢。
黒本は精度の高い攻めと拙いガードが並存する攻撃偏重型。素質は感じさせるものの、的確に弱点を突いて来る地力を持った相手になると分が悪そうで、総合的には4回戦中〜上位級の実力か。
柳井は1Rにカウンター合戦で敗れてダウンしたのが全て。また、ダッキングやヘッドスリップに乏しいディフェンスも課題。これで3連敗となり、戦跡上は負け越しとなったが、それでも地力的に言えばまだまだ挽回は可能。試合を重ねれば6回戦までは上がれるだろう。
余談だが、自分の出身ジムの選手に辛く採点する洲鎌に、中立なジャッジとして生きていく事を選んだ男の矜持を感じさせられた。地元判定に助けられ、それを憎みもした彼には地元判定撲滅の尖兵になって欲しいと切に願う。