駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第7試合・Lフライ級10回戦/○中島健[Gツダ](6R1分25秒TKO)ペッチサクダー・ソー・ティアブクン[タイ国]●

中島は15勝(9KO)3敗の戦績。今年1月にイーグル京和[角海老宝石]のWBCミニマム級王座に挑戦するも惨敗、本来のLフライ級に戻して5月に再起し、今日が2戦目の調整戦。対戦相手のペッチサクダーはタイ国Lフライ級9位で、今回が来日2戦目。初来日は今年3月で、日本ランカーの和田峰幸生[筑豊]に敗れている。
1R。中島は、ラウンド前半は様子見をし過ぎてタイ人のジャブを細かく浴びるシーンもあったが、後半に入って右ストレート、左フックを再三クリーンヒットさせて圧倒。
2R。中島は左フック中心に強打攻勢を仕掛け、有効打、クリーンヒット連発で一方的な展開。ディフェンス面でもガード、パーリングに進歩の跡が窺えるが、それでも相変わらずカウンターを不意に貰う場面があって危なっかしさも覗かせる。
3R。中島、ラウンド序盤はペッチサクダーのワン・ツー攻撃を冷静にブロッキング、その後は隙を突いて左フック中心にクリーンヒットを集めて大差優勢。ノックダウンまで持って行きたい場面だったが、そこまでは至らず。
4R。中島は明らかにノックアウト狙いの試合運び。右ストレート、左の上下フックが再三有効打だが、急所を微妙に外しているのだがノックダウンの気配無し。
5R。中島は左ボディを集めるタイ人相手のKO狙いの定石。更に右ストレートなど痛打浴びせるが、ペッチサクダーは怯まずに前進しワン・ツー気味の左右連打で力強く反撃。これも中島はガードするが、ペッチサクダーの噛ませタイ人らしからぬタフネスぶりが光る。
6R。中島はやはりボディ攻めだが、ペッチサクダーは強烈な左ジャブ→右アッパーでクリーンヒットをお返し。それでも中島は好戦的にワン・ツー合戦に打って出てクリーンヒットの雨あられを浴びせる。タフネスなタイ人も無数のパンチをお見舞いされてグロッキー、ついにレフェリーに試合を止められた。
中島が攻守両面においてのレベルアップを果たし、タフネスなタイ人を強打攻めで屠った。専門誌等には「ディフェンス面で不安」と評されているが、これでも噛ませタイ人の遠慮がちの攻めをモロに喰らっていた以前に比べると雲泥の差である。リスキーな打撃戦にも臆せず立ち向かってゆくアグレッシブな姿勢には、ひ弱なエリートから客席を沸かせる逞しいプロボクサーへの脱皮・成長を感じさせてくれた。個人的にはこれまで全く魅力を感じない選手だったが、今日の試合は「次の試合も観たい」と思わせてくれる好内容だった。