駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2部第6試合・フェザー級契約ウェイト(56.0kg)10回戦/○坪内達哉[大阪帝拳](8R終了TKO)宇野寿修[岐阜ヨコゼキ]●

メインは大阪帝拳アマ・エリート組の有力ホープ・坪内達哉が登場。個人的にも「あしたのボクシング2」に推薦記事を書かせてもらったので頑張って欲しいところ(笑)。今宵の相手は、元バンタム級ランカーの宇野寿修(スナオ)。
坪内はプロ戦績6勝(2KO)1敗。アマ時代には全日本選手権で本戦へ進出し8強。プロ入り後も充実したキャリアを過ごしている。昨秋にはSバンタム級ランカーの玉越強平[千里馬神戸]と対戦し、場内観戦組からは互角以上の健闘という声も多数上がる奮闘を見せた。ここを足掛かりに、日本ランキング以上の展望を開けたいところだ。
対する宇野は16勝(11KO)7敗2分の戦績。かつては中日本地区の有力選手として東洋・日本ランキングの上位に名を連ね、長谷川穂積が保持していたOPBFバンタム級王座に挑戦した経験もある。ただし最近は負けが込み、動きにも精彩を欠いている。今日は1階級以上の増量で、実績的には格下相手との一戦。立場的にも随分と追い詰められた感があり、再浮上へ向けてのラストチャンスと言って良いだろう。
1R。坪内は宇野の手数多い攻めを全てパーリとステップワークで防ぎきり、逆に右ストレートをクリーンヒット、更に有効打2発を畳み掛けて反転攻勢。坪内は手数が少ないのがどうかだが、“クリーンヒット”では大きくリード。
2R。坪内、このラウンドもガードが固く、被弾は最小限度の細かい当たりに留める。攻めては圧力をジリジリかけつつ慎重にチャンスを窺い、右ストレート、ボディフックに左フックで有効打数を確実に積み重ねる。
3R。坪内はこのラウンドも宇野の攻撃を阻止しつつ、左右のボディブローで有効打数確保。右ストレート、左右フックを顔面にもヒットさせて追い込みをかける。
4R。宇野が攻勢に出るが、坪内怯まず応戦。打撃戦になっても若干の優勢で、ボディブローとフックで宇野を退らせる場面も。ヒット数での坪内有利は不動。
5R。坪内のボディを起点にしたフック、ストレートがビシビシ決まって大差優勢。コーナーに追い込んでゆく場面も。宇野も強打中心にアグレッシブな攻めを展開し、少数ながらヒットも奪っているが、優勢を築くところまではどうか。
6R。坪内はアグレッシブさを増して攻勢。その分やや被弾が増えるが、ワン・ツーからボディへのダブル、右クロス、右ストレート、ボディ連打で見せ場を作り、クリーンヒット数で大差。
7R。坪内はKO狙いの強打攻め。右ストレート、フック連打などでクリーンヒット連発し追い込んでゆく。しかし宇野も意地を見せて必死に抵抗、体ごと浴びせつつのボディブローなどで反撃した。
8R。坪内はこのラウンドもKO狙いの右ストレート、左フックでクリーンヒット連発するが、ロープ際での押し合いやクリンチワークに弱みを見せ、更に宇野の捨て身の逆襲に痛打を浴びて完全に効かされて、ラウンド終了直前は危うく逆転KO負けかという状況だった。しかし宇野の心身に蓄積されたダメージは色濃く、インターバルに入った所でセコンドから試合放棄の要請があってTKO裁定に。そんな状態で蜘蛛の糸1本程度の勝機を掴みかける所までいった宇野は敗れこそしたが天晴れだ。
坪内が前回の試合から更に強打の威力を高め、試合全体で見れば大差完勝のTKO勝ち。しかし相手がグロッキー状態に陥ってからの最終盤になって、インサイドワークや圧力の弱さ、そして以前から懸念されていた打たれ脆さをハッキリと露呈してしまうなど、今後に向けて懸念材料も多数噴出した試合にもなった。
宇野は階級を上げた影響も少なくなかったろうが、5月の三谷将之[高砂]戦に続いて精彩を欠く試合振りに終始した。体が気持ちに付いて来ないような印象を受けた。