駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第4試合・バンタム級8回戦/○村田匡教[塚原京都](判定2−0)竹本裕規[風間]●

前半戦の最後は8回戦。本来ならこの試合の後に“中入り休憩”を挟む予定だったそうだが、時間が押してしまって無くなったとの事。落語で言う“中トリ”のように、事実上のセミセミ前を前半に挿入する事自体は悪い話ではないと思う(但し、試合内容の期待値が高いカードを持って来ないと逆効果だが)。
両者戦績は村田6勝(5KO)7敗、竹本8勝(4KO)6敗1分。村田は今年4月に前年度の新人王戦西軍代表の中村公彦[大星森垣]を降して数年がかりでのA級昇格を果たしている。竹本は03年度のフライ級西日本新人王。軽量級らしからぬパワー・ヒッターで、A級でも果敢なファイトで勝ち負けしているが、最近はやや負けが先行。前回の坪内達哉[大阪帝拳]戦から僅か3ヶ月での再起となる今回、この意欲を試合結果に繋げたいところだ。
1R。強打タイプの両者による重厚な打撃戦。村田が手堅くガード・ブロックにダッキングで竹本の攻撃を阻みつつ、有効打連発。上下への打ち分けも良し。
2R。ガードの技術差が主導権支配にも影響して村田が優勢。要所でヒットを浴びせ、右ストレートでクリーンヒット。打ち合いでも互角以上に渡り合う。竹本はボディフック中心の強打攻めを見せるが、やや単調。
3R。村田はやや疲れたか、ディフェンスが雑になって来た。こうなると竹本にも攻める隙間が生まれてストレートで先制打。その後は単調・単発気味の攻めが災いしてラウンド中盤に村田の反撃を許すが、終盤には連打をまとめてヒット数で上位に立った。
4R。村田はタイミングを計りつつの狙い撃ちを試みるが、逆に竹本の左ストレートを浴びて失速、ガードも機能しなくなり劣勢に立たされる。だが懸命にクリンチワークで粘り込みを図り、竹本の左中心の攻勢を何とか凌ぎ切った。
5R。近距離での手数少ないが重い強打で打撃戦。竹本がボディブローで先制すると、村田も上下に打ち分けた左フックの有効打で逆転。しかし竹本はそこから攻撃の手を絶やさず反攻して形勢微妙なラウンドとする。
6R。両者不発が多くなり、クリンチ気味の乱打戦に。村田がショートワン・ツーで有効打奪いリードするが、竹本も重いフックを放ってヒットをお返しし、このラウンドも小差。
7R。竹本はゴング即ダッシュで仕掛けるも不発。しかし戦意の高さは衰えず、先手、先手の攻めで手数と攻勢点で優位に立ち、左ボディでヒット2発も。村田も強い左を当てて印象的な場面を作るが、劣勢挽回とまではいかないか?
8R。序盤に猛烈なフック合戦でバチバチの乱打戦。これを優勢に持ち込んだ村田が、ラウンド中盤以降もクリンチに頼りながらリードを守りきった。竹本はドサクサ紛れに強打を浴びせていったが、及ばず。
公式判定は大黒77-75、宮崎77-75、野田76-76の2−0で村田。駒木の採点は「A」77-75「B」77-76で村田優勢。
村田はガード固めつつの強打狙い撃ちでポイントを奪い、その後も互角の形勢で粘り強く戦って小差判定を獲りきった。これまでの戦績を考えると、A級緒戦で今日の相手に勝利したのは殊勲の部類に入るだろう。
竹本は強打攻めがやや単調で、序盤に失った主導権を完全に奪いきる事が出来なかった。体力切れを窺わせるシーンもあり、今日は全てが裏目に出てしまったか。