駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第2試合・バンタム級4回戦/○稲上聖真[ウォズ](判定3−0)西川良一[京都拳闘会]●

両者戦績は稲上1勝(1KO)1敗1分、西川は未勝利1敗。稲上は5月の京都興行でプロ初勝利を挙げて以来のリング。西川は3/18のデビュー戦でKO負けを喫している。
1R。圧力かけて攻めたい西川と、距離を取ってジャブ、ストレートを活かしたい稲上とで静かながらも激しい位置取り争いを繰り広げつつの攻防。ラウンド序盤は西川が右有効打で先行も、中盤以降は稲上がヒットに恵まれないものの手数で明らかな優勢に立って肉薄する。
2R。ラウンド序盤は両者目まぐるしく攻守を入れ替えつつ、ロープに相手を詰めては手数を集める。この攻防は互角だったが、中盤以降は稲上の手数と左ストレートが優位となる。対抗する西川の右は威力に欠けて印象に残らない。ただ、両者共にパンチの命中率が引くく、手数の割にヒット数はロースコア。
3R。密着しての乱打戦へ。稲上が手数豊富に攻めて主導権握り、時折見せる左ストレートを効果的に決めて優位に立つ。西川は守勢に回って手数も減ってしまう。
4R。稲上の手数攻めがこのラウンドも機能。主導権をガッチリとキープすると共にヒットも重ねて優勢に。西川は放つ手数が稲上のパンチにパーリングされるような形で苦戦するが、ラウンド中盤に左カウンターがラッキーパンチ気味に2発クリーンヒットして「すわ逆転KOか?」という場面を作る。だが終盤には稲上が逆に左ストレートでクリーンヒットを連発して再逆転し勝負あり。
公式判定は宮崎40-36、藤田40-37、半田40-37の3−0で稲上。駒木の採点は「A」39-37「B」40-37で稲上優勢。
稲上は相変わらずの雑な攻めながら、5月の試合から主武器としている左ストレートを上手く機能させて主導権を確保した。ただガードの低さも目立ち、危ないシーンも見受けられる。これで連勝だが相手はデビュー戦と未勝利の選手。標準的な2勝選手と比較すると少々分が悪いか。
西川は2R以降、手数と圧力が鈍って劣勢に陥ったままズルズルとポイントを失ってしまった。ファイター志向の試合運びで圧力負けしていては勝ち目は薄い。ただし最終的な敗着は4Rにクリーンヒットを奪った場面で決め切れなかった所。勝ちが先行する選手というのは、得てしてああいう場面で決めてしまうものである。