駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第9試合・フライ級6回戦/△山口淳一[森岡](判定1−0)鈴木遼[尼崎]△

両者戦績は山口5勝(1KO)2敗2分、鈴木4勝(0KO)2敗1分。山口は5/4の森岡ジム興行で引き分けて以来のリング。鈴木は新人王戦Lフライ級西日本準決勝で敗れて以来の再起戦。
1R。山口は鈴木の攻勢をガード、ダッキング、クリンチとあらゆる手段を使って完全に捌ききり、逆にジャブ、ストレートで迎撃してヒット数を稼ぐ。自ら攻勢に出る場面もあって、このラウンドは“クリーンヒット”要素で優勢、他の要素では互角。
2R。山口はこのラウンドも、鈴木の攻勢に対してジャブ、ストレートでカウンター気味に対処する。しかし鈴木もこのラウンドは細かいジャブにフック有効打、更にラウンド終盤には手数こそ物足りないがロープへ詰めての攻勢でジャッジにアピールして小差まで挽回。
3R。クリンチ多い展開の中、断続的な打撃戦でヒットを交換する。鈴木はやはりプレスをかけつつジャブ、ストレートの攻めで先制のヒット、有効打。だが山口もラウンド終盤にはフック連打で有効打を奪って差を詰める。
4R。このラウンドも密着しつつ膠着気味の展開。山口が右ストレートで先制攻撃を決めるが、鈴木もストレートに左カウンターのクリーンヒットで効かせて印象度では互角以上。
5R。密着してのショート連打合戦。共に狙い撃ちより手数を出す事を優先したために明確なヒットには恵まれないが、山口が細かいヒットと手数、鈴木が圧力かけつつの手数攻めで互角〜微差の形勢。
6R。このラウンドも膠着気味。クリンチ状態での手数の打ち合いで、差の無い接戦。手数や主導権支配では僅かに山口が優勢だが、このラウンドも極めて際どい。
公式判定は宮崎58-56(山口支持)、北村57-57、半田57-57のマジョリティ・ドロー。駒木の採点は「A」58-56山口優勢「B」58-58イーブン。終盤5〜6Rが特に際どい形勢で、これまたドロー近辺ならどの裁定でも勝負の綾で片付けられてしまう内容。ドローは絶妙な落とし所と言えるだろう。
軽量級らしい手数合戦に終始。山口は1Rこそ好守とカウンターで技術面の優勢をアピールしたが、その後は密着戦にお付き合いしてしまい、ドローに甘んじた。6回戦では自分の持ち味、自分のペースを守り、活かしきる努力を怠らないで欲しい。
鈴木もアグレッシブな攻勢で健闘したが、クリンチ状態で膠着してはなかなか形勢で差をつけられない。彼もまた持ち前のステップワークを使わず終いで、理想的な試合運びが出来たとは決して言えない。