駒木ハヤトの西日本ボクシングレポートアーカイブ

かつて京阪神地区のボクシング会場に通い詰め、レポートを記した男ありけり。はてなダイアリーから記事をインポートしたものの、ブログ化して格段に読み難くなってしまいました。

第1部第8試合・ウェルター級6回戦/○丸野琢哉[守口東郷](判定2−0)細川貴之[六島]●

両者戦績は丸野5勝(3KO)4敗、細川9勝(2KO)5敗。丸野は今年の新人王戦の準決勝でTKO負けを喫して以来の再起戦。細川は前年度新人王戦のウェルター級西軍代表だが、全日本決勝で牛若丸あきべぇ[協栄]に敗れ、今年5月の再起戦でも判定負けを喫して連敗中。9勝しているが、全て4回戦での勝利で6回戦はまだ未勝利。今回はまたも苦手のサウスポー相手だが……?
1R。ヒット&アウェイの打撃戦。細川はサウスポー相手でリズムが掴めず、持ち前のディフェンシブな戦い方が出来ないが、それでもキレの良いジャブと回転力豊かな連打でヒット数優勢。丸野はストレート中心の攻撃で押したいが、打ち合いでは地力の差を見せ付けられて劣勢。
2R。細川はこのラウンドもハンドスピードや精度の差でジャブ、ストレート、アッパーを立て続けにヒットさせて一方的な展開に持ち込むが、ラウンド終盤になって好事魔多し。丸野の左ストレートがカウンターでクリーンヒットする事2回、その度に細川は完璧なダウンを奪われてしまう。深刻なダメージは無く、時間的な恵まれも有ってラウンド終了まで何とか凌いだが、このラウンドは10-7の採点となる。
3R。丸野はラウンド前半、ジャブ中心にヒット重ねてストレートで追加弾。しかし細川も後半に入ってストレート中心に有効打を重ねて丸野をグラつかせ、ほぼ互角の形勢に持ち込む。
4R。細川は足を使いつつ、ハンドスピードの差を活かしてジャブ中心の攻撃。そこへ右、左とフックを、更に左ストレートで大差リードを確保。丸野も右ジャブ数発ヒットさせるが、ストレートまで繋げられず劣勢。
5R。細川がスピード差活かして主導権。細かいヒットの数では圧倒するが、丸野は少ないチャンスの中で右フックをクリーンヒットさせ、更に左ストレートで一瞬細川の膝を折らせる場面があって形勢微妙。
6R。細川がアウトボクシングで手数と主導権で優勢。細かいヒットに左フックのクリーンヒットで効かせるが、丸野も右ジャブで機先を制して左ストレート有効打。あとは丸野が圧力をかけていった分の攻勢点をジャッジがどう見るか。
公式判定は半田57-55、原田57-56、野田56-56の2−0で丸野。駒木の採点は「A」57-55細川優勢、「B」57-57イーブン。細川は2Rに2回のダウンで、このRは10-7丸野。あとのラウンドは細川が概ね優勢だったが、恐らくは形勢微妙だった3Rと5Rで丸野の攻勢点が高く評価されて際どく逆転となった形。それにしてもこの日は“アグレッシブ”要素の重視が目立つ採点方針だ。
丸野は技術では劣勢だったが、要所でヒットを浴びせるなど粘り強く戦い抜いて辛勝。2Rの3点リードを何とか守り切った。
細川は手数、ヒット数、そして主導権支配では概ね優勢だったが、山場を作る決定的なクリーンヒットを奪えず、肝心な所でポイントを獲り損ねた。それにしても2Rのダウン2回が痛い。6回戦での3点ビハインドは、やはり致命的だ。